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加藤氏再選 市政をもっと近づけて

 一騎打ちになった長野市長選は現職の加藤久雄氏が再選された。

 自民、民進、公明の各党や連合などの組織の厚さに支えられた加藤氏が、会社役員の土屋龍一郎氏を引き離した。

 盛り上がりに欠ける選挙戦だった。投票率は39・29%で、過去2番目の低さになった。

 直前の衆院選期間中、公選法の規定で市長選の後援会活動が制限された影響もあるだろう。

 だが、それ以上に2人の違いが見えにくかったことが大きい。ともに経済界、市街地の出身。子育て環境の充実を重点に置くなど政策の共通点も目立った。

 前回選は、新市民会館(現芸術館)建設など大型事業の見直しが争点になった。今回は「放課後子ども総合プラン」の有料化、市有のボブスレー・リュージュ施設「スパイラル」の製氷休止ぐらいで、土屋氏の主張は「再検討する」にとどまった。

 現市政の問題点を徹底的に洗い出し、具体的な対案を示して論争してほしかった。

 2期目を担う加藤氏の前には課題が山積している。まずは人口減少、とりわけ中山間地の衰退にどう向き合うかだ。

 2度にわたる周辺町村との「平成の大合併」で、市の人口は38万人余になった。面積は830平方キロ余と2倍に広がっている。その7割が中山間地で、3万3千人が暮らす。これが市の人口ビジョンでは2060年に3分の1に減少すると推計している。

 公共交通の維持や防災対策、農業や観光の振興をどう進めるのか。具体策が求められる。地域づくりの担い手不足を補うには、中山間地同士、さらに市街地の住民をつなげる仕組みも欠かせない。

 財政は楽観できない。

 大型事業のツケで市の借金は本年度末に1600億円近くに膨らみ、その後も1500億円台で推移する見通しだ。高齢化の進行で社会保障費などの扶助費も過去20年余で4倍になり、財政硬直化の一因になっている。

 市は本年度、市有施設の縮減、統廃合に向けた地区ごとの検討を本格化させている。住民の合意形成を丁寧に進めてほしい。

 市政をもっと住民に近づける工夫も必要だ。

 「都市内分権」を掲げて、地域の課題解決を地域に委ねる地区自治協議会が始動して10年余になる。より多くの人が気軽に参加できる形に深化させ、住民自治の意識を高めなければならない。投票率の向上にもつながることだ。

(10月30日)

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