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森林間伐取りまとめ県交付金 同意書、県職員が署名・改ざん

交付金の申請書に添付された同意書と二重向地区森林整備協議会保管の同意書で署名の字体などが違うことを告発した文書の写し交付金の申請書に添付された同意書と二重向地区森林整備協議会保管の同意書で署名の字体などが違うことを告発した文書の写し
 森林づくり県民税(森林税)を財源に、間伐予定地域の森林所有者の同意書を取りまとめた団体に交付金を支給する事業で2010年度、県北安曇地方事務所(大町市、現北アルプス地域振興局)の職員が、自分で森林所有者の署名、なつ印をした同意書や、同意書の原本の日付を改ざんした写しを提出し、30万円を地元の団体に支給していたことが30日、信濃毎日新聞の取材で分かった。昨年1月に内部告発で発覚したが、県は事実関係を公表していない。

 県林務部は職員の行為について「適切でなかった」としつつ、職員への調査を基に「森林所有者や地元団体の同意を得ていた」と説明。一方、地元団体側は交付金の申請自体を承知していなかったと反論している。

 森林税の基金残高は昨年度末時点で4億9千万円に上るなど、事業の執行率の低さが課題。大北森林組合補助金不正受給事件の背景には予算消化の狙いがあったとされており、今回も同様の目的があった可能性もある。来年度以降の森林税の継続方針を示す県の説明責任が問われそうだ。

 問題の事業は、県の「地域で進める里山集約化事業」。間伐予定地域の所有者の同意書を取りまとめた団体が、同意書や同意書の写しを添付して交付金支給を県側に申請すると、翌年度末までの間伐実施を条件に交付金が支給される=図。分散したり、行方不明だったりして困難とされる森林所有者の間伐の同意を取りまとめる「集約化事業」を促進する目的だ。

 本紙は情報公開請求で、昨年1月の内部告発の文書を入手した。県林務部信州の木活用課への取材を合わせると、二重向(ふたえむかい)地区森林整備協議会(大町市美麻)が10年10月に交付金を同地事所に申請。添付した同意書22通のうち13通は、同地事所林務課職員が自分で森林所有者の署名を書き込み、同課にあった同じ名字の印鑑を押していた。13通のうち9通は同協議会保管の原本と署名の筆跡が異なり、4通は同協議会に原本がなかった。他に、原本の日付を同職員が改ざんした写しが8通、経緯は不明だが原本と日付が違う写し1通があった。

 申請書類自体も、交付金を受け取る同協議会ではなく、同職員が作成したものだった。信州の木活用課は「適切でなかった」とする一方、同職員への聞き取りを基に、森林所有者や同協議会の同意は得ていた―と説明している。

 間伐事業は交付要件の11年度末までに一部が完了していなかったため、県は昨年2月、交付金の一部11万円余の返還を求め、同協議会は応じた。

 一方、同協議会会長は取材に、間伐を行うために森林所有者の同意書を集めるよう同地事所林務課に依頼されたが、交付金の申請については説明がなかったとする。「同意書を県職員に渡したこともなければ、交付金の申請をした覚えもない」と証言する。

 11年度末ごろに同地事所職員の指示で同協議会名の通帳を作成し、30万円が振り込まれたが、「職員からは『地域でいろいろご苦労いただいたから』と説明されただけだった」といい、不審に思い、他の会員に説明した上で使わずにいたとしている。

(10月31日)

長野県のニュース(10月31日)