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中国原産トチュウの葉食べるガ  国内初 飯田などで確認 

国内で初めて確認されたトチュウウスクモヨトウ(四方さん提供)国内で初めて確認されたトチュウウスクモヨトウ(四方さん提供)
 飯田市美術博物館(飯田市)の学芸員、四方圭一郎さん(46)らが、国内で生息の記録がなかった中国原産のガを県内で確認した。中国では杜仲茶(とちゅうちゃ)にするトチュウの葉を食べる害虫として知られ、今後、国内で被害が出る恐れがあるという。和名を「トチュウウスクモヨトウ」と名付けた。4、5日に東北大(仙台市)で開かれる日本鱗翅(りんし)学会の全国大会で発表する。

 四方さんは今年4月、飯田市の里山で見慣れないガを発見。オス2匹を採取し、交尾器の特徴で特定した。四方さんによると、同種のガは2016年にトチュウがある上伊那郡南箕輪村の信州大農学部の構内で、今年5月に同学部構内と松本市安曇で見つかり、四方さんが確認した。安曇野市で採取された個体もあるという。

 四方さんは、こうした経緯を日本蛾(が)類学会の学会誌(9月発行)に発表している。

 このガは1995年に中国湖南省で見つかった。羽は黒褐色で広げた長さは4センチ余。幼虫はトチュウの葉だけ食べて育つ。中国東部に広く分布し、チベット高原にも生息記録がある。11年には韓国でも見つかった。

 四方さんは「十数年ほど昆虫採集を続けてきた所で発見した。この1、2年で増えたのではないか」と推測。「日本への侵入が自然拡散によるものか、人為的な原因があるのか、今のところ分からない」とする。韓国では発見から2年で大発生した例があり、四方さんは「天敵がいないなど条件がそろえば日本でも大発生の恐れはある。注意が必要だ」としている。

 一方、トチュウの栽培や杜仲茶の製造・販売を手掛ける「サンメクス」(上伊那郡箕輪町)では昨年から、見たことのない虫に葉を食べられる被害が出始めたという。社長の林恒明さん(70)は「葉が丸ごと食べられる被害が出ている」とし、今回確認されたガの影響ではないかと懸念する。

 同社によると、トチュウの生産者は、杜仲茶の需要が伸びた90年代には伊那谷に少なくとも300人いたが、現在は約30軒となっている。

(11月2日)

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