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製糸の遺産、上田の「依水館」一般公開 4日と5日

一般公開される依水館の玄関。来年で建築100年となる一般公開される依水館の玄関。来年で建築100年となる
 上田市上丸子の国登録有形文化財「依水館(いすいかん)」の内部が4、5日、一般公開される。依水館は1918(大正7)年、丸子地域にあった製糸組合「依田社」が米国からの客人らをもてなす迎賓館として建てた。来年で建築100周年となることから、施設を多くの人に知ってもらおうと、管理する市丸子地域教育事務所が企画した。

 依田社は、1888(明治21)年、丸子地域にあった複数の製糸工場が集まり設立。繭の共同購入や生糸の品質を統一して共同販売するなどしたことで、各工場の経営が安定し、地域にも経済効果をもたらした。

 生産した生糸は米国に輸出されていたため、当時は米国人が頻繁に丸子地域を訪れていたという。世界恐慌や太平洋戦争の影響で、依田社を構成していた全ての製糸工場は1945(昭和20)年までに閉鎖した。

 木造平屋の依水館には約40畳の座敷があり、大正時代の建物の特徴が見られる。依田社がなくなった後、戦中戦後は個人の住宅として使われ、2002年に旧丸子町が土地と共に取得。翌年、国登録有形文化財に指定された。普段は非公開で、15年には上田市出身の医学者・山極勝三郎博士(1863〜1930年)の生涯を描いた映画「うさぎ追いし―山極勝三郎物語」の撮影に使われた。

 一般公開に合わせ、製糸業が全盛期だった旧丸子町や工場の作業風景、米国絹業協会会長が訪れた当時の写真約20点をパネルで紹介。丸子郷土博物館が所蔵している依田社の関連史料や、映画ロケの様子を収めた写真も展示する。

 4日は座敷で、地元の丸子中央小学校や西内小学校の金管バンド、市民らでつくる雅楽団体が演奏を披露する。市の担当者は「丸子地域の製糸業の歴史についても理解を深めてほしい」と話している。

 2日間とも午前9時〜午後4時、入場無料。

(11月3日)

長野県のニュース(11月3日)