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パレスチナ ガザを救う和解実現こそ

 パレスチナの中で対立してきた自治政府主流派のファタハとイスラム原理主義組織ハマスが和解し、12月1日までに「国民和解政府」を発足させる―。

 双方は先月、こんな合意文書に署名し、共同記者会見で和解成立をアピールした。

 パレスチナは2007年以降、自治政府が統治するヨルダン川西岸と、ハマスが実効支配するガザに分裂した状態が続く。

 中東和平の道筋を付ける上で大きな障害になってきた。何より、イスラエルによる封鎖でガザは困窮の一途をたどっている。

 ハマスはガザの境界管理を自治政府に引き渡し、合意内容の一部を履行した。が、着実に前進するかは見通せない。ハマスが武装解除を拒否しているためだ。国際社会は分裂解消に向け、力を尽くさねばならない。

 ファタハとハマスは統合を目指すための交渉をこれまでも行ってきた。が、なかなか成果を出せない。今回はエジプトが仲介役となって協議を行った。背景には、ガザの人々の不満が年々高まっていることがある。

 双方が署名した合意事項には問題が多い。過去にも争点となったガザの治安権限移譲の手順や、ハマスの軍事部門の取り扱いなどに関し、具体策には踏み込めなかった。「あらゆる問題の解決に取り組む」などと、お茶を濁すような表現になっている。

 国民和解政府の詳細も曖昧だ。とことん詰めた内容とは言えず、対立の根深さを感じる。

 パレスチナ自治政府のアッバス議長は「一つの法律、一つの武器を持った一つの組織が必要だ」と訴え、ハマスに軍事部門の解体を迫っている。

 ハマスと敵対するイスラエルもパレスチナ統一政府が発足したとしても、ハマスの武装解除が行われない限り、中東和平交渉は行わないとした。イスラエル寄りの姿勢を強めるトランプ米政権も同様の主張をしている。

 ガザはイスラエルが境界封鎖を続け、食料や生活物資、医療器材や燃料が不足し、苦しさを増している。「天井のない監獄」と呼ばれる状況が続く。

 8月にガザを訪問した国連のグテレス事務総長は「(世界で)最も深刻な人道危機の一つ」との認識を示している。

 イスラエルが封鎖を解かなければ何も変わらない。複雑な事情が絡み合う中での和解作業になるけれど、ガザを救うためにも着実に前へ進めてほしい。

(11月4日)

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