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不適切な事務 県の再調査が必要だ

 森林整備を巡り、県の不適切な事務処理が新たに発覚した。

 舞台は大北森林組合の補助金不正受給事件と同じ北安曇地方事務所(現北アルプス地域振興局)だ。事件をきっかけにした県の調査で、うみを出し切れていなかったのではないか。

 「地域で進める里山集約化事業」での問題だ。間伐予定地域の森林所有者の同意書を取りまとめた地元協議会に交付金を支給する。財源は、県の独自課税である森林づくり県民税(森林税)だ。

 本紙が県への情報公開請求で入手した文書などによると、2010年度に大町市の協議会名で交付金申請された書類について次のような事務処理が確認された。

 ▽添付された同意書22通のうち13通は、地事所の職員が森林所有者の署名をしていた▽判は地事所に保管されていた印鑑の中から同じ名字のものを押していた―などだ。66個も印鑑があったことは不自然だ。

 同じ年、白馬村の協議会が集めた同意書48通の日付を別の職員が勝手に書き換えていたことも判明している。

 総額14億円余に上る大北森林組合の補助金不正受給は07年から始まっている。同地事所の職員が、事業の完了を確認する現地調査をしていないのに調査したように偽った書類を作るなど不正に加担していた。4人が虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで書類送検され、起訴猶予処分になっている。

 不適切な事務処理が間伐や作業道整備だけでなく、集約化にも広がっていたことになる。大北事件の発覚を機に県や有識者検証委員会が地事所の事務処理の実態を調べたはずなのに、今回の不適切な処理は明らかにされていない。

 さらに問題がある。県が集約化事業でのこうした処理を昨年1月、内部告発で把握したのに公表していなかったことだ。

 森林税は本年度末で2期目の課税期間(5年間)が終わる。集めた税は使い切れず、1年間の税収総額に相当する6億円が基金に積み上がる見通しだ。

 継続には異論もあったが、阿部守一知事は9月県会で、さらに5年間継続させる方針を表明した。今回の問題を県民に知らせないまま行った県民アンケートの結果が理由の一つになっている。県への不信感が高まっても仕方がない。

 そもそも大北事件で、長野地裁の確定判決が県の不正関与を認め、県民世論調査で7割が再調査を求めたのに県は応えていない。改めて徹底した再調査を求める。

(11月4日)

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