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高校山岳部にビーコン貸与 県教委が方針

日本山岳救助機構合同会社から県教委に寄贈されたビーコン日本山岳救助機構合同会社から県教委に寄贈されたビーコン
 栃木県で3月、登山講習中の高校生ら8人が死亡した雪崩事故を受け、長野県教委は4日までに、今冬から県内の高校山岳部の指導者や生徒のパーティー全員を対象に、雪崩に遭った場合の捜索に役立つ「ビーコン」(電波発信器)の貸与を始める方針を決めた。栃木の事故の犠牲者はビーコンを携帯しておらず、発見までに時間を要した点を踏まえて、雪山登山の安全確保に必要と判断した。スポーツ庁によると、全国でも珍しい取り組みという。

 ビーコンはスイッチを入れると、微弱な電波を発信。ビーコンを身に付けた登山者が雪に埋まった場合、捜索者は自身のビーコンを受信モードに切り替える。埋まった登山者が発する電波を捉えると、ビーコンの画面に「埋没地点までの距離と方向」が表示される。

 雪崩で雪に埋まった人の生存率は、15分を過ぎると下がるが、100メートル四方の雪面で埋まった人を探すのにビーコンがあれば5分でおおよその位置が分かる。

 ただ、県教委スポーツ課によると、1台3万〜5万円と高価なため、高校生が個人装備として携帯するのは難しい面がある。

 こうした事情を踏まえ、県教委はビーコンの貸与の仕組みづくりを検討。県山岳総合センター(大町市)が所有する約20台のほか、遭難時の救助費を加入した会員で負担し合う制度を運営する「日本山岳救助機構合同会社」(東京都)から10月中に寄贈された新型ビーコン20台を貸与に充てることになった。さらに県教委の予算で計50台程度に増やす。

 同課は今月中にも、高校山岳部の指導者らでつくる県高体連登山専門部にビーコンを預け、雪山登山を計画する高校山岳部の指導者と生徒に貸し出す。同課の内山充栄課長は「特定の部活動の用具を県教委で備える形になるが、命を守る必要性が高い」としている。

 県教委は栃木県の事故後、「山岳県」として、雪山登山を全面禁止にせず、安全に親しむ環境を維持するための独自指針を検討する山岳関係者らによる委員会を設置。委員会は10月、ビーコン貸与の仕組みなどを提案する報告書を県教委に提出した。報告書を基に県教委が策定した独自指針では、雪崩捜索に必要なビーコン、スコップ、捜索棒の3点セットを可能な限り携帯するよう求めていた。

 委員長を務めた鈴木啓助・信州大理学部教授(雪氷学)は「もしもの場合に備え高校生がビーコンを携帯できるのは安全登山にとって意義深い。使い方を含め雪崩の基本的な知識を学ぶことにも力を入れてほしい」と話している。

(11月5日)

長野県のニュース(11月5日)