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車の最終検査 メーカー任せ見直しを

 国内製造業を支えてきた自動車業界への信頼低下につながる。

 日産自動車とSUBARU(スバル)で、資格のない従業員が新車の出荷前に行う最終検査をしていた問題である。

 日産は問題公表後も無資格検査を続けていた。国内の完成車工場で出荷を停止し、計約120万台のリコール(無料の回収・修理)を国土交通省に届け出た。スバルのリコールは約25万5千台になる見通しである。安全性に対する両社の認識が問われる。

 自動車産業では、タカタの欠陥エアバッグや三菱自動車などの燃費データ不正なども起きている。信頼を回復するには、無資格検査を放置した原因を究明し、社内の意識向上に一から取り組まなければならない。

 今回の問題は、最終検査をメーカーに一任する国の制度の問題も浮き彫りにした。

 新車は本来、一台ずつ車検場に持ち込んで最初の車検を受ける必要がある。それだと効率が悪く大量生産が困難になるため、国土交通相から「型式指定」を受けた車はメーカーが工場で検査することが認められている。

 問題は検査を実施する従業員に、知識や技能など一律の公的基準がなく、資格取得がメーカー任せになっていることである。

 各社が独自に検査に必要な知識と技能があると従業員を認定し、研修期間にも公的な規定はない。検査が確実に実施されたかどうか、国が確認する仕組みもない。

 最終検査は国とメーカーの信頼関係の上に成り立ってきたといえるだろう。

 それなのにスバルは30年以上にわたって、一定の実習を受けた従業員に「仮免許」を与えて、実務経験を積ませるとして検査に従事させていた。日産は社内の資格を持たない補助検査員が最終検査をしていた。

 検査員の職務は重要である。ブレーキが正しく作動するか、オイル漏れがないかなど、車の品質と安全に関係する多くの項目を調べる。いずれも車を購入した消費者の安全確保に直結する問題である。国とメーカーの根拠の薄い信頼関係に依存した最終検査では、国民の理解を得られまい。

 石井啓一国交相は記者会見で両社の無資格検査について「制度の根幹を揺るがす行為」と批判し、制度見直しに言及した。検査員認定方法や検査方法の統一などが対象になるだろう。国とメーカーは消費者の信頼回復のため、効率度外視で見直しに取り組むべきだ。

(11月6日)

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