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新ロシア疑惑 米政権への目より厳しく

 ロシアによる米大統領選干渉疑惑の捜査が進む中、米政権でロシア絡みの新たな疑惑が浮上している。

 通商政策を担うロス商務長官と関係が深い海運会社と、プーチン大統領の娘婿や側近が実権を握る石油化学大手が多額の取引をしていた。

 トランプ政権の閣僚とロシア政府に直結する人物とのビジネスが明らかになるのは初めてだ。

 ロシア側の1人は米政府による経済制裁の対象で、国益と利害対立する「利益相反」になる可能性があるという。展開によっては米政界を大きく揺さぶる問題に発展するかもしれない。

 ロス氏の疑惑は、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手したタックスヘイブン(租税回避地)に関する新資料に基づく取材で発覚した。租税回避地は世界的に課税逃れや不正蓄財の温床になっている。

 ロス氏が関わる海運会社とロシアの石油化学大手との取引額は2014年からの3年間で約78億円に上った。今年は輸送業務を倍増させるなど双方は関係を強化しているとされる。

 ロス氏は著名な投資家で、かつて破産寸前だったトランプ氏を救ったことがある。信頼関係は厚く、個人的な関係から政権入りしたとみる向きも強い。

 ロシア側とのビジネスにどのように関わっていたのか、どこに問題があるのか、米議会は厳しく追及しなくてはならない。

 ロシア疑惑を巡っては、トランプ氏の選対関係者3人が訴追されている。新たな疑惑が出たことで政権の足元が揺らぎ、政策が迷走する懸念も拭えなない。

 ICIJは昨年、パナマ文書に関する報道で租税回避地の実態を詳しく報道した組織である。今回入手した関連する資料は1340万通。租税回避地が「税の楽園」と称されることから「パラダイス文書」と名付けられた。

 パラダイス文書には各国の現旧首脳を含む政治家や王族ら127人の名前があった。法人などは2万5千近くに上る。

 租税回避地は富める者をより富ます仕組みと言える。パナマ文書の報道以来、批判は高まったが、税逃れの実態は変わらない。ロス氏を巡る疑惑も、グローバル経済の負の側面を映し出しているとみていいのではないか。

 パナマ文書の報道では、プーチン大統領周辺が関わる疑惑も出てきた。ロシア疑惑は政治的な面ばかりでなく、経済面からも深く迫っていく必要がある。

(11月7日)

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