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日米首脳会談 地域安定につながるか

 安倍晋三首相とトランプ米大統領が東京の迎賓館で会談し、日米両国の結束を改めてアピールした。

 核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への圧力を最大限に高めていくことで一致している。事態の打開につながるかは見通せない。地域の安定に向け、中国を含めた関係国の連携を図っていく必要がある。

 5回目となる直接会談だ。トランプ氏は、アジア歴訪の最初の訪問国として2泊3日の日程で初来日した。ゴルフや夕食会も交えて蜜月ぶりを演出している。

 会談後の共同記者会見でトランプ氏は、日米同盟がこれほど緊密になったことはないと語った。首相も「揺るぎない絆を示すことができた」と成果を強調する。

 幾つか心配な点がある。

 北朝鮮対応は「最新情勢を分析し、取るべき方策について見解が一致した」としている。「北朝鮮から政策を変えるので話し合いたいという状況をつくることが大事だ」と従来の考えを繰り返すものの、対話への道筋は見えない。

 「全ての選択肢がテーブルの上にある」と軍事的選択肢を排除しないトランプ氏の立場を「一貫して支持する」と重ねて表明してもいる。対立がエスカレートすれば偶発的な衝突も危ぶまれる。不測の事態をどう防ぐのか、具体的に示すべきだ。

 問題解決に向け、中国がさらに役割を果たすことが重要だとの認識でも一致している。

 一方で、中国へのけん制を念頭に「自由で開かれたインド太平洋戦略」構想の実現へ協力の強化を打ち出した。中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に対抗する狙いで首相が昨年提唱したものだ。

 北朝鮮に路線転換を迫るには中国、ロシアを含め、関係国が足並みをそろえる必要がある。「中国包囲網」の発想で向き合いながら協力していけるのか。ちぐはぐな印象が拭えない。

 米国からの防衛装備品の導入を巡る発言も見過ごせない。大量購入への期待を示したトランプ氏に対し、首相は「防衛力を質的にも量的にも拡充していきたい。さらに購入していくことになる」と積極姿勢を見せている。

 両国はこれまでも日米同盟で日本が「より大きな役割、責任を果たす」としてきた。同盟強化の名の下、装備増強が野放図に進む恐れがある。自衛隊が備えるべきものか、必要性や妥当性の吟味を脇に置いて「購入ありき」で進めることがあってはならない。

(11月7日)

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