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米韓首脳会談 すきま風が強まる恐れ

 結束を演出してみせたものの、北朝鮮対応を巡って米韓の間のすきま風が強まることにならないか。

 韓国を初訪問したトランプ米大統領と文在寅大統領との首脳会談である。朝鮮半島での軍事衝突を避けることを最優先とする文氏に対し、トランプ氏は北朝鮮に対する軍事力の行使をちらつかせながら、真意が見えぬ対応をした。

 双方は経済摩擦も抱える。今回の首脳会談は緊張関係を緩和させる狙いがあったが、溝は埋まらなかったようにみえた。

 足並みの乱れが北朝鮮への対応に悪影響を及ぼすことにならないか、懸念が募る。

 両首脳は会談で、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対し、制裁と圧力をより強める方針で一致した。トランプ氏は共同記者会見で「比類なき軍事力を使う用意がある」と述べている。

 一方で「北朝鮮が交渉のテーブルに着いて、良い合意をすることは理にかなっている」などと、対話の可能性にも言及した。

 韓国国会で行った昨日の演説でも軍事行動を示唆しながら、「北朝鮮の未来のために話し合う用意がある」と語っている。

 トランプ氏は「時間の無駄」だとして北朝鮮との対話を拒絶してきた。話し合いの意思が本当にあるかどうかは不明だ。対話の重要性を訴えてきた文氏に歩調を合わせたとも受け取れよう。

 米国は原子力空母を3隻も展開させるなど、軍事力を誇示する姿勢を強めている。これまでも圧力一辺倒の姿勢を打ち出し、安倍晋三首相は支持している。

 トランプ氏の言動は予測不能だ。「戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ」―。以前、米共和党の議員にこう語ったと報じられている。

 今回、対話に言及したからと言って、不測の事態を招くリスクが減ったわけではない。

 文政権の対応にも疑問がある。関係国の結束を第一に考えねばならない局面にもかかわらず、首脳会談後の夕食会に旧日本軍の従軍慰安婦だった女性を招き、日韓が領有権を争う竹島周辺で採ったエビを、島の韓国名を冠し「独島エビ」の名で出した。日本政府が懸念を表明している。

 北朝鮮対応が主要テーマの会談である。あえて歴史問題を持ち出す必要があったのか。感情的な対立を激化させかねない。今は緊張をどう緩和するか、道筋を探ることに集中してもらいたい。

(11月9日)

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