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公文書管理 第三者機関を考えよう

 政府が有識者の委員会に公文書管理法の新しいガイドライン案を提示した。行政の意思決定過程を検証するのに必要な文書は「原則1年以上」の保存期間とするのがポイントだ。

 ただし何が1年以上の保存に当たるかの判断は府省庁に任される。これでは都合の悪い文書が勝手に廃棄されかねない。

 運用に目を光らせ、問題が生じたら是正を指示する権限を持つ第三者機関の設置を考えたい。

 ガイドライン見直しの発端は森友学園に対する国有地売却交渉記録の廃棄や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽(いんぺい)問題だった。財務、防衛省は、保存期間1年未満の文書として扱い、廃棄したと説明した。

 森友への売却は10年分割払いで完結していない段階だった。南スーダンPKOは派遣期間の途中。「廃棄した」という説明はいかにも不自然だった。

 新指針が適用されれば、少なくともこうしたケースでは「廃棄した」との説明は通用しにくくなる。一歩前進である。

 1年未満に指定できる例としてガイドラインは、▽職員間の日常的・定期的な業務連絡▽新聞の写しなど出版物・公表物を編集した文書―など七つを挙げている。何をもって日常的・定期的、出版物・公表物と見なすかは、担当するそれぞれの府省庁が判断することになりそうだ。抜け穴をふさぐ手だてが欠かせない。

 複数の府省庁や外部との協議では可能な限り相手方の発言部分についても確認などにより正確性確保を期す、との規定が新設される。問題はここにもある。当事者が不都合な発言の確認を拒み、なかったことにできるからだ。

 「相手方未確認」と付記するなど、生のやりとりを記録に残す工夫が要る。

 政府機関では毎日膨大な文書が作成されている。運用は現場に任される部分が多くなるだろう。第三者機関は恣意(しい)的な運用を防ぐ歯止めとして有効だ。

 内閣府に置かれている公文書管理委員会は、諮問を受けて制度の在り方を審議、検討するのを役目とする。日常的に運用を監視する体制になっていない。管理委の下に、あるいは委員会とは別に、文書や情報の専門家を交えたチームを作ったらどうか。

 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」は今春、公文書法の目的に「知る権利」を盛り込むよう求める意見書を発表している。参考にしたい提言の一つだ。

(11月10日)

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