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望まず授かった命にいらだつ。願いかなって授かった命なのに育児の責任を一身に背負い自分を追い込む。電話の向こうから聞こえる母親のそんなうめきに耳を傾けて寄り添う。NPO「ながの子どもを虐待から守る会」の電話相談だ

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20年に及ぶ地道な活動が評価され信毎選賞を受賞した。「子どもたちがこの世に生まれて良かったという人生を歩んでほしい」。きのうの贈呈式であいさつした会長で弁護士の有吉美知子さんの言葉だ。活動に関わっている全ての人たちの志が伝わった

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日本代表の合宿に参加しているバドミントンの奥原希望(のぞみ)さんは受賞メッセージを寄せた。ひざのリハビリをしながら早期復帰を目指している。代わって出席した父親の圭永(きよなが)さんに聞くと、前夜は電話で「焦らずに目標に向けてゆっくり歩いていけばいい」とアドバイスしたという

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「選ぶ力をつけさせる。自分で選んだ道なら壁は乗り越えられる」。教師でもある圭永さんの教育論だ。バラ栽培も困難を克服してきたのだろう。中野市の一本木公園バラの会だ。数十年という古い株も多いが毎年大輪を開き、市民の誇りを育てている

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株が病気にならない体力を養えるよう土壌改良に取り組んでいる、と理事長の芳川博成さん。今月は高校生100人と冬囲い作業をする。〈生命は/その中に欠如を抱き/それを他者から満たしてもらうのだ〉=吉野弘「生命は」。補い合える社会になれば命を育てる豊かな土壌が広がる。

(11月10日)

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