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米中首脳会談 緊張緩和への重い責任

 表向きは和やかでも北朝鮮を力でねじ伏せようとするトランプ大統領と、習近平国家主席の間でさや当てがあったのではないか。

 北京で行った米中首脳会談である。国連安全保障理事会が決める制裁の枠内で、北朝鮮の核放棄まで経済的圧力をかける必要性で一致した。北朝鮮を核保有国としても認めなかった。

 ただし、習氏は「対話による解決を探ることが重要」とし、温度差は鮮明になっている。

 今回の会談では緊張緩和の道筋や非核化への具体策は打ち出せなかった。米中首脳には事態を打開する重い責任がある。

 トランプ氏のアジア歴訪で、最も注目されたのが今回の首脳会談である。中国が影響力を拡大するアジアで米国の存在感を高めたいトランプ氏と、2期目の指導部を始動させたばかりの習氏の顔合わせだったからだ。

 習氏は、先の中国共産党大会で「1強体制」を固め、長期政権もにらむ。米国と肩を並べる大国の実現を構想する。そんな状況だけに、指導者としての力量をアピールする必要があった。トランプ氏を手厚くもてなし、関係強化を最重視したようにみえた。

 実際、米中関係について「協力こそが唯一の正しい選択肢」と協調を演出している。両国間で約28兆円にも上る巨額の商談がまとまったとも語った。

 トランプ氏の方は北朝鮮対応とともに、「米国第一」の政権運営を米国民に印象づけるため、日中韓との貿易不均衡是正を各国で求めた。3カ国ともトランプ氏の要求に理解を示している。日韓については北朝鮮の脅威を利用するかのように、武器の大量売り込みの道筋を付けた。

 しかし、一連の会談では北朝鮮対応を巡って関係国の結束が簡単ではないことも露呈した。トランプ氏は先に訪問した日本や韓国では「圧力の最大化」で一致したけれど、中国の合意とは大きなずれがある。米国に安全保障を頼る日本などは今後も振り回される恐れがある。間隙(かんげき)を縫うように、北朝鮮はロシアと関係を深めるなど、状況は複雑さを増している。

 中国が米国に配慮しながらも対話重視を崩さなかったのは、北朝鮮が不安定化し、軍事衝突などのリスクが自国に及ぶことを懸念したのだろう。日韓は直接的な被害を受ける恐れがある。落としどころが見えないことが一番の問題だ。米中は不測の事態を回避することを第一に話し合いを重ね、展望を開かなくてはならない。

(11月10日)

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