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戸隠神社の杉 3本折れる 奥社参道 10月の台風で

台風の影響で幹から折れた戸隠神社奥社参道の杉=10月24日、長野市(戸隠神社提供)台風の影響で幹から折れた戸隠神社奥社参道の杉=10月24日、長野市(戸隠神社提供) 参道周辺で続いた倒れた杉の撤去作業=10月24日、長野市(戸隠神社提供)参道周辺で続いた倒れた杉の撤去作業=10月24日、長野市(戸隠神社提供)
 10月下旬に県内に接近した台風21号の影響で、県天然記念物に指定されている長野市の戸隠神社奥社参道の杉並木の杉計3本が倒れる被害が出ていたことが9日までに分かった。戸隠神社によると、杉並木の杉が複数まとまって倒れるのは1959(昭和34)年の伊勢湾台風以来約60年ぶり。杉並木は樹齢350年ほどに及び、腐朽も目立つ。地元有志らは戸隠観光のシンボルを守ろうと、樹勢回復に向けた対策に乗りだそうとしている。

 10月23日に台風21号が去った後、胸高の幹の太さで直径1メートル前後の大木計3本が幹から折れているのを神職が確認した。参道沿いには倒れた杉が現在も残る。幹の折れた部分を見ると空洞があり、腐朽が進んでいたとみられる。

 地元住民や神社関係者ら有志約30人は2009年、腐朽が進む杉並木を守ろうと「戸隠奥社の杜と杉並木を守る会」を結成。今年7月には樹木医の診断で、菌類やコケ類の影響などで樹勢が衰えている木があることが分かっていた。

 台風21号より強い風が吹いたとされる伊勢湾台風の時は、杉並木で7本が根元から倒れた。台風21号では3本とも幹で折れており、神職の一人は「それだけ杉の柔軟性が失われているのかもしれない」と話す。温暖化の影響で、樹勢に影響を与える菌が繁殖しやすい環境になってきている可能性もあるという。

 杉並木は近年、神秘的な力があるとされる「パワースポット」ブームなどで、訪れる人が急増。観光客らによって杉の根元の土が踏み固められ、根が伸びにくくなるといった影響も懸念されている。

 今月15〜17日、茨城県の専門業者に依頼し、杉に超音波を当てて内部の水分量や空洞の有無などから樹勢を調べる予定だ。県教委と協議の上、来夏には数カ所で地下の根の状態を確認する試掘調査を実施する考え。調査結果を踏まえ、樹勢回復に向けた対策を検討する。

 守る会では、栃木県日光市の日光東照宮周辺の杉並木で採用されている根を守る工法にも着目。地下に空洞のあるコンクリートブロックを埋めて根を伸ばしやすくする工法で、今月12、13日に現地を視察する。

 標高約1300メートルの参道の両側に、約500メートルにわたって計約200本の杉が整然と並ぶ杉並木。野鳥の撮影に度々訪れているという都内の会社経営、渡辺順司さん(56)は「信仰の歴史に包まれているように感じる。初めて見る人で感動しない人はいないのではないか」と話す。

 戸隠神社は昨年以降、樹齢800年とされる中社のご神木「三本杉」などで、樹勢回復作業を実施している。神職の一人は、杉並木についても「地域の財産として、その場しのぎでなく長期的に守っていくのが務め。保存活動計画を作り、それに基づいて後世に伝えていきたい」としている。

(11月10日)

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