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民放局の良質な番組はスポンサーの理解が鍵になる。長寿の人気クイズ番組「世界ふしぎ発見!」を企画したテレビマンユニオン会長の重延浩さんが自著で裏話を紹介している。日立製作所の1社提供で始まったのは1986年だった

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当初、古代ギリシャなど本格的な歴史を取り上げ、視聴率は低迷した。答えが「象」のクイズで本物がスタジオに現れる工夫もした。直前に鳴き声で分かってしまい大失敗。それでも平然と「犀(さい)」と答えた黒柳徹子さんのキャラクターに救われたという

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プロデューサーは首になるだろうと週刊誌に書かれた。重延さんは「独創的なコンセプトに間違いはない」とスポンサーを説得し、「君が良いというなら」と信頼を得た。やがて視聴者と発見の旅をする形が定着し視聴率はうなぎ上り。この成功で自社の経営もようやく安定した

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テレビマンユニオンは飯田市出身の故・萩元晴彦さんらが創設した独立系プロダクションの草分けだ。同じTBS社員だった重延さんも旗揚げから加わった。80年代は企業が番組提供でイメージアップを競い、制作費や広告費が高騰した時代でもあった

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東芝が48年続けたアニメ「サザエさん」のスポンサーを降りる方向となり、代わって美容外科が名乗りを上げている。栄枯盛衰を感じさせる交代劇である。近年、1社提供は少なくなった。同時に良質な番組も減ったように感じるのは企業の余裕がなくなったのか、現場の制作力の衰えか。

(11月11日)

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