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マイナンバー 懸念残して「連携」開始

 マイナンバー制度を使った「情報連携」が始まった。行政窓口で各種手続きが簡素化される、と政府はメリットを強調する。

 この制度については個人情報が一元管理されることへの疑問が付きまとう。運用には厳しい目を注ぎ続けたい。

 マイナンバーは赤ちゃん、外国人を含め、日本に住む全ての人に政府が割り当てた12けたの番号だ。国や自治体、公的機関は税、社会保険、年金などの情報を番号で管理している。

 情報連携とは、関係する行政機関同士がマイナンバーを使って情報をやりとりすることを指す。例えばある人が市町村に児童扶養手当を申請する。これまでなら必要だった課税証明書が情報連携によって不要になる。

 今回、奨学金、生活保護、障害福祉サービスなど計853の手続きが簡素化されたという。

 「便利になる」と喜んでばかりはいられない。番号の利用範囲が広がれば広がるほど、情報の一元管理が進む。制度を運用する政府がその気になれば個人の暮らしは丸裸になってしまう。

 第三者機関の個人情報保護委員会が目を光らせることになっているものの、実効性あるチェックがどこまでできるか分からない。警察など捜査機関の利用には委員会の権限は及ばない。

 事務手続きやシステムの問題で情報が漏れ出す心配もある。情報連携は7月に始まっているはずだったのが、システムトラブルで遅れた。連携と同時に始まった個人向けサイト「マイナポータル」は約1年遅れた。

 公的年金での連携は、日本年金機構の個人情報流出が影響して今回は延期になっている。健康保険や高校就学支援金もシステムの不備で先送りされた。

 情報管理は本当に大丈夫なのか、との疑問を抱かせるスタートだ。顔写真付き個人番号カードの普及が進まないのも、不信がぬぐえないためではないか。

 政府は今後、番号利用を戸籍やパスポート、銀行口座などに広げる考えだ。クレジットカード、キャッシュカードと一体化するアイデアも浮上している。個人情報を本人からの同意で一括管理し、商業利用に提供する「情報銀行」の構想もある。

 個人情報は誰のものか、国が関与する形の一元管理は適切なのか―。疑問を置き去りにして利用が広がろうとしている。

 情報連携開始の機会に、制度の是非を改めて考えたい。

(11月14日)

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