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映画「一茶」ロケで費用立て替え 9団体、2000万円余未回収

 上水内郡信濃町出身の江戸時代の俳人、小林一茶(1763〜1827年)の生涯を描いた映画「一茶」の県内ロケで、飯山、須坂、長野市の9団体が立て替えたスタッフの宿泊代や弁当代など少なくとも2千万円余が未回収になっていることが13日、分かった。映画制作委員会の中心だった都内の制作会社が10月、破産開始決定を受けたためで、映画の公開見通しも立っていない。地域経済活性化につなげようとロケを誘致した県内関係者は困惑している。

 映画はリリー・フランキーさん主演で今年秋に公開予定だった。東京商工リサーチによると、制作会社「オフィスティーエム」(東京)が10月18日、東京地裁に破産を申請し、同25日に破産開始決定を受けた。約3億円の制作資金など出資する予定だった法人から資金を得られないトラブルが発生。公開見通しが立たずに資金繰りが限界に達し、事業継続が困難になったという。

 映画の宣伝・配給を委託されていたKADOKAWA(東京)は「宣伝費が回収できず、公開に向けて動けないので8月末に契約を解除した」(映画宣伝課)としている。現時点で、同社が再び配給を行う予定はないという。

 県内ロケは昨年、飯山市や信濃町、須坂市で行われ、飯山市では城南中学校旧校舎に大掛かりなセットも造られた。

 飯山市のロケ誘致の窓口となった信州いいやま観光局は、昨年9月下旬から同10月下旬の同市内のロケで、映画スタッフらの宿泊代や弁当代、映画に使った光熱費など約1500万円余を立て替えた。だが、期限とした同年11月末までに支払いはなく、制作会社からは、資金繰りに窮して支払いが遅れるとの説明があったという。その後も請求したが、払われないままになっている。

 同観光局によると、同観光局のほか、飯山市と長野市、須坂市の8団体が県内ロケで何らかの費用を立て替えたまま、支払いを受けていない。

 須坂市の田中本家博物館もその一つ。明治時代に建てられた同館の客殿「清琴閣(せいきんかく)」で昨年9月、障子を張るシーンの撮影が行われた。もともと張っていた戸の障子の張り替え費用などを請求したが、支払われておらず、田中新十郎館長(42)は「お金が返ってこないことも残念だが、何とか解決策を見つけ、一刻も早く公開してほしい」と話す。

 信州いいやま観光局の森山直明・事務局長は「経済や地域活性化を期待してロケ地として受け入れたが、こんなことになり残念だ。顧問弁護士に相談し、今後の対応を考えていきたい」としている。

(11月14日)

長野県のニュース(11月14日)