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伊那 脳性まひの森永さん「囲碁強く」情熱の30年

パソコンを使って囲碁のオンライン対局をする森永さん。アマチュア最高位の八段を目指しているパソコンを使って囲碁のオンライン対局をする森永さん。アマチュア最高位の八段を目指している
 伊那市西箕輪の障害者支援施設「大萱の里」に入所する森永義弘さん(55)が、趣味の囲碁のアマチュア段位取得に励んでいる。先天性の脳性まひがある森永さん。進学、就職がうまくいかない中で囲碁と出合い、30年ほど前から独学で続けてきた。首から下がほとんど動かなくなったが、今年6月には関西棋院(大阪市)発行の五段の免状を取得。「アマチュア最高位の八段を目指したい」と意気込んでいる。

 森永さんは大阪市出身で、中学1年生の時、母の故郷の伊那市に引っ越した。高遠高校(伊那市)から大学に進むことを目指した。東京の数校を受験したが、全て不合格になった。進学を諦め、就職活動をしたがうまくいかず、家に引きこもった。

 「囲碁をやってみないか」。森永さんが20歳のころ、父義信さん(82)=伊那市美篶=がそう声を掛けた。自分で戦術を組み、局面を読む楽しさに引き込まれた。囲碁の本を読み込み、テレビの講座を毎週欠かさず見るようになった。30歳のころ、関西棋院の検定のことを知り挑戦した。

 アマチュア段級位の検定では次の一手などを選ぶ問題が出され、結果によって受ける段級位が振り分けられる。その後、昇級試験を受け、合格して免状を請求すると段位が認められる。森永さんの最初の検定は1級。そこから毎年受験し、四段まで上がった。

 うれしい半面、心残りもあった。免状の請求は四段で6万円、段位が上がると請求金額も増える。「これ以上、迷惑を掛けたくない」。四段を区切りに受験をやめた。40代になるとインターネットで対局を楽しむようになった。

 現在暮らす施設には10年近く前に入所。囲碁を続ける中で「自分の実力がどの程度か知りたい」と約20年ぶりに検定を受けた。すぐに五段に合格することができた。

 手足が徐々に不自由になっており、森永さんは半年ほど前から、パソコンの操作を施設の職員に委ねることが多くなった。それでも「これからも実力をつけたい」と、八段を目指す思いは変わらない。

(11月15日)

長野県のニュース(11月15日)