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日馬富士暴行 角界の信用を揺るがす

 残念でならない。

 横綱日馬富士関が秋巡業中だった鳥取県内の酒席で、平幕貴ノ岩関をビール瓶で殴るなどして、頭部にけがをさせた問題である。

 強さだけでなく、品格が求められるのが横綱だ。許される行為ではない。貴ノ岩関側から被害届を受理した鳥取県警は傷害容疑で捜査しており、刑事責任が問われる可能性もある。極めて異例の不祥事といえる。

 日本相撲協会は事実関係を早急に調査し、詳細に説明する必要がある。報じられている通りなら、二度と土俵に上げない厳罰を科すことを躊躇(ちゅうちょ)してはならない。

 相撲界は数年前まで不祥事が相次いだ。2007年には稽古場で序ノ口力士が師匠や兄弟子に集団暴行されて死亡。10年2月には横綱朝青龍関(当時)が知人男性への暴行事件の責任を取って引退している。11年には八百長問題が起きて春場所が中止される事態となった。国技への信頼は失墜し、入門希望者は減り続けた。

 最近になって人気が回復傾向にあるのは、若手の台頭やベテランの踏ん張りなど、力士たちが土俵上で熱戦を繰り広げたからだ。

 今年1月には稀勢の里関が横綱に昇進し、14年ぶりに日本出身横綱が復活。日馬富士関は4横綱の一角として相撲界を支えてきた。横綱白鵬関らの休場で一人横綱となった先場所では、逆転で9度目の優勝を果たしている。

 開催中の九州場所でも連覇が期待されていただけにファンの落胆も大きいだろう。自らの立場を自覚していたのか疑問である。

 協会の対応にも問題がある。

 問題は10月下旬にモンゴル出身力士らが出席して開いた酒席で起きた。暴行の話は力士や協会関係者に広まり、11月3日には鏡山危機管理部長が双方の親方に事情を聴いている。それなのに事実を詳しく調査せず、問題を放置した。

 貴ノ岩関の師匠で巡業部長を務めていた貴乃花親方も、鳥取県警に被害届を出しながら、協会には明確に説明していなかった。

 日馬富士関は今場所2日目まで土俵に上がり、問題が報じられてから休場した。協会は本人からまだ事情を聴いておらず、危機管理委員会の本格調査は今場所千秋楽翌日の27日以降になるという。

 協会は事態を軽く考えているのではないか。今回の不祥事は角界の信用を揺るがしかねない。早急に対応して「相撲界は暴力を許さない」ことを明確に示さなければ、空きが目立った数年前の客席に逆戻りするだろう。

(11月16日)

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