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国会質問時間 駆け引きを続けるのか

 国会での質問時間の配分を巡り与野党の攻防が続く。自民党が与党分を増やすよう要求しているためだ。

 加計学園の獣医学部新設認可を踏まえた衆院文部科学委員会は「与党1対野党2」で決着した。野党の質問時間が減れば、国会のチェック機能が弱まる恐れがある。今回の委員会審議を見ても明らかだ。自民は要求を撤回すべきである。

 従来、与野党で「2対8」の配分が慣例だった。民主党政権時代に野党だった自民の要求もあって決まったものだ。

 先の衆院選大勝で自民は見直しの要求を強めている。当初は議席数に応じて7割近くを与党に割り振るよう求めることも検討していた。さすがに国民の批判を招きかねないとの判断から「5対5」に変えて提案し、拒否する野党と今回は「1対2」で折り合った。

 自民が譲歩した形になってはいるものの、野党への配分が大幅に減らされた。

 与野党は「1対2」を前例にしない方針を確認している。自民の森山裕国対委員長は衆院各委員会の理事に対して「5対5」で野党と交渉するよう指示を出した。このままでは、時間配分を巡り審議前の駆け引きが繰り返される。国会のあるべき姿ではない。

 議院内閣制の下で政府と与党は事実上、一体である。与党は国会に提出される法案や内閣の主な政策を事前審査している。既に了承している以上、問題点を厳しくただす質問は望みにくい。野党に多く時間配分してきたのは、相応の理由があってのことだ。

 加計学園の獣医学部を巡る衆院文科委の質疑でも与党の質問は政府を擁護する内容だった。自民の義家弘介氏は文科相の認可について正当性を強調した。「行政がゆがめられた」と証言した前川喜平前文科事務次官を「無責任」と批判している。

 国家戦略特区制度を活用した新設に必要な4条件は満たされているのか。国会論議は平行線で、疑問が残ったままだ。与党も経緯をただすのが筋ではないか。

 義家氏は前文科副大臣だ。学部新設に関わる政府の役職に就いていた当事者が質問に立つ。茶番劇というほかない。この点を取っても解明の意思は感じられない。

 こんなことではやはり、自民の提案は認められない。法案や政策の問題点を掘り下げ、政府の仕事を監視するのが国会の役目だ。安倍晋三首相の1強が続く中、責任は一段と重い。質問時間の慣例は維持する必要がある。

(11月17日)

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