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核のごみ会合 「やらせ」体質は根深い

 これで理解が進むと思っているのか。

 原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の候補地選定に向け、14日までに14都府県で開かれた住民向けの意見交換会である。

 学生計39人が5都府県の会合に動員されていた。日当や謝礼が支払われる約束だった。ほかの5県でも動員が掛けられたが、応じた学生はいなかった。

 経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)の主催である。動員を掛けたのは、若年層への広報を担当していた企画会社だ。NUMOは記者会見で「委託先の社内管理に不徹底があった」と述べ、関与を否定している。

 原発を巡る説明会などでは過去にも、電力会社や資源エネルギー庁などが職員や関係者を動員したり、「原発推進」の意見表明を依頼したりしていた経緯がある。今回のような不透明な運営は、業界の「やらせ」体質が依然として残っている懸念を強める。

 今回動員された学生が、意思に反した意見を表明するよう要請されていなかったのか。狙いは何だったのか。NUMOは詳しく調査し、説明しなければならない。

 核のごみは、原発が発電した後に出る使用済み核燃料を再処理する過程で生じる。長期にわたって強い放射線を出すため、ガラス固化体にして地下300メートルより深くに地層処分する。すでに固化体換算で2万5千本相当が存在する。

 処分場選定は住民の反対で難航しており、調査に応じた自治体はない。政府は7月に地質上、候補地となり得る地域を日本地図上で示し、選定を進める方針でいる。意見交換会はその一環だ。

 参加者が少なければ、国民の関心の低さが表れていると受け止めるべきだ。その上で改善策を考えるのが筋だ。参加者数を装うのはごまかしにすぎない。

 自治体が選定に向けた調査を受け入れない背景には、処分場ができると、搬入が際限なく続くという危惧がある。

 ごみの搬入先が決まらないまま運転が続けられてきた原発は「トイレのないマンション」と批判されてきた。最終処分場の選定が混迷するのは、原発政策の矛盾が表れているといえる。

 理解を得るには、原発政策を見直すことが必要だ。いつまで原発を運転し、ごみの総量はどの程度になるのか。地層処分しか方法はないのか。政府が疑問に答えられなければ不信感は解消しない。政府は国民に向き合う姿勢を根本的に改める必要がある。

(11月17日)

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