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憲法の岐路 参院合区解消 議論が逆立ちしている

 自民党の憲法改正推進本部が全体会合を開き、参院の合区解消に向けて、憲法47条改定を柱とするたたき台を了承した。

 合区は憲法を変えなくても、定数是正や国会法改正で解消できる。改憲を自己目的とするかの議論は容認できない。

 「選挙に関する事項は、法律でこれを定める」とする現行憲法47条に、「各選挙区は人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」との一文を挿入する。

 これが推進本部のたたき台だ。5年前に党がまとめた改憲草案を踏襲している。

 さらに「ただし書き」として、「改選ごとに各広域的な地方公共団体の区域から少なくとも1人が選出されるよう定めなければならない」との表現を盛り込む。

 広域的な地方公共団体、とは都道府県のことである。各県からは有権者数に関係なく、選挙ごとに最低1人が選出される。

 衆参の議員は「全国民を代表する」と定める43条は変えない。

 憲法の条文に都道府県の記述がないことを踏まえ、「基礎的な地方公共団体」=市町村と「広域的な地方公共団体」=都道府県、の規定を92条に追加する。

 2年前の公選法改正で合区を導入したのは自民党である。「鳥取、島根」「徳島、高知」を合わせて一つの選挙区にした。

 自分で合区しておいて、解消に改憲が必要と主張するのは議論が逆立ちしている。

 地方の有権者の間に反対は強かった。高知と鳥取では投票率が過去最低を更新するなど、弊害は既に表面化している。合区は速やかに解消すべきだ。

 全国知事会の研究会が昨秋まとめた報告書が参考になる。解消の具体策として憲法改正の他に、▽公選法改正による定数是正▽国会法、公選法改正による都道府県代表制の法定化―を挙げている。選挙区定数を34増、比例代表を24減すれば「1票の格差」は最大2・95倍に収まる、との試算も示した。京都大の高見茂特任教授ら専門家による結論だ。

 参院を「地方代表の府」とする場合には、衆参の役割分担の調整など国会の仕組み全般にわたる見直しが必要になる。時間をかけた議論が欠かせない。自民の今度のたたき台には抜本改革への意欲が感じ取れない。これでは国民の理解は得られない。

(11月18日)

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