長野県のニュース

所信表明演説 新味も具体性も欠ける

 「未来を切り開くことができるのは政策です」。安倍晋三首相はそう語ったものの、新味や具体性に欠ける所信表明演説だった。

 内外に課題は山積している。政府の考え方を国会で詳しく説明する必要がある。

 第4次内閣発足を踏まえ、衆参両院本会議で行った。演説の字数は2006年発足の第1次を含め安倍内閣で最も少ない。核・ミサイル開発を進める北朝鮮や少子高齢化への対応など先の衆院選で訴えた政策について、大ざっぱに方針を示すにとどまった。

 5年間のアベノミクスで雇用は185万人増加、大卒者の就職率は過去最高、正社員の有効求人倍率は1倍超…と実績をアピールしている。その上で、成長軌道を確かなものとするため少子高齢化の克服に踏み出す時だとした。

 安倍政権が新たな看板政策として掲げるのが「生産性革命」「人づくり革命」である。演説では20年度までの3年間を集中投資期間と位置付けて企業の設備や人材への投資を力強く促すことや、幼児教育の無償化を一気に進めることなどを表明している。

 具体的な中身や進め方、財源確保など分からない点が多い。首相は新しい経済政策パッケージを来月策定し、速やかに実行に移すとした。今国会の会期中に示し、議論できるようにすべきだ。

 とりわけ消費税の使い道の変更については突っ込んだ論議が欠かせない。衆院解散表明に当たり唐突に打ち出したものである。

 所信表明では、消費税による財源を子育て世代への投資と社会保障の安定化にバランス良く充てることで財政健全化も確実に実現するとした。借金抑制に使う分を減らして本当に財政を立て直せるのか、依然はっきりしない。将来世代の負担が増す恐れがある。

 北朝鮮対応については、圧力を一層強化していくとし、東アジアサミットなどで各国首脳と緊密な協力を確認したと述べている。対話重視の中国などとは温度差がある。成果ばかりを強調せず、課題も率直に語るべきだ。

 ミサイル防衛体制をはじめ防衛力の強化にも触れている。先ごろ初来日したトランプ米大統領は日本に武器の大量購入を促した。脅威をてこに米産業を支援するかの防衛費増大は認められない。

 首相は衆院選の結果を受け、約束した政策を一つ一つ実行に移し結果を出していくとも述べた。勝利したからといって国政を白紙委任されたわけではない。丁寧な政権運営、国会対応が求められる。

(11月18日)

最近の社説