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法隆寺夢殿を模した日本武道館が完成したのは1964年9月。東京五輪まで1カ月を切っていた。20億円をかけ1年足らずの突貫工事で間に合わせた。次の五輪でも柔道と空手の会場になる。にわか造りにしては使いでのある建物だ

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存在感を高めたのが2年後のビートルズ公演である。来日直前、武道館の正力松太郎会長が使用に異議を唱えた。ほかの文化人もごみ処分場の「夢の島」でやればいい、と発言し大騒ぎに。青少年の健全育成を図る施設にふさわしくないとの理由だった

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しかし当時、1万人以上収容できる屋内施設はほかにない。やがて「ロックの聖地」としてアーティストの目標になっていく。80年に山口百恵さんが引退コンサート、今春は元ビートルズのポール・マッカートニーさんが公演した。広く門戸を開いたことが長寿につながっている

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県が佐久市に計画する武道館も「聖地」に倣ってのことか。予算案では、多目的利用を図るためコンサートなどができるステージを追加するという。費用は当初想定より増え、57億円に上る。長野五輪の施設を見ても、利用料で維持費を賄うのは大変だ

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佐久市は合併特例債で総合文化会館を造る予定だった。反対多数となった住民投票で中止しただけに、多目的の施設は渡りに船だろう。建設費高騰の折、音響設備などさらに費用が増えることはないか。地の利では都心の本家とは比べようもない。捕らぬたぬきの皮算用にならねばいいが。

(11月18日)

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