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客の前で土下座させられたことが2回ある、と話してくれたのは県内食品スーパーの中堅男性社員だった。接客態度が悪いとのクレームだった。客は店内で怒鳴り続ける。やむなく要求に応じて…。床に手をついたときの気持ちを尋ねるのははばかられた

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「悪質クレーム」についてUAゼンセンがアンケートを行った。流通や介護福祉、繊維分野の労組である。調査対象は販売やレジ業務に携わる約5万人。客から悪質クレームを受けたことが「ある」との答えは7割。内容は「暴言」「同じ内容のクレームを繰り返す」などだった

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「土下座の強要」は1580人、100人中3人が経験していた。迷惑行為は「増えている」と、約半数が答えている。社長を呼べ、社員を解雇しろ、謝罪広告を出せ…。高学歴、高所得とみられる客は怒鳴り散らす代わりこんな要求をすることが多い

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世の中全体に不機嫌で不寛容な空気が広まってはいないか。都市部の大手私鉄では駅員や乗務員に対する暴力行為が年間200件ほど報告されている。ネットでクレームが拡散されるため企業が萎縮して毅然(きぜん)とした対応が取れない面があるのかもしれない。現場で働く人は大変だ

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客対応の難しさから流通業界では求人難、離職者増などの問題が起きているという。UAゼンセンが今回、調査を行った理由である。現場に任せて済ませられる段階ではなさそうだ。理不尽な要求に向き合う体制を企業として整えるほかない。

(11月19日)

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