長野県のニュース

政府系金融 民営化含め改革論議を

 民業圧迫としか言いようがない。

 商工中金や日本政策金融公庫などの政府系金融機関である。全国地方銀行協会の内部調査により、税金で一部負担する利子補給を活用し、最も低い場合で地銀の3分の1程度の低い金利を融資先に提示していたことが分かった。

 地銀が「最も経営が健全」と判断している企業に、政府系が示した平均金利は0・27%である。地銀の0・76%より大幅に低い。

 これだけ差があると、民間は政府系との融資競争に勝てない。地銀からは「巨額の融資案件を横取りされた」などの報告が229件出ている。政府系に合わせ金利を下げざるを得なかった事例も61件あった。民業を補完する政府系の役割を逸脱した行為だ。

 金融機関は日銀のマイナス金利政策などで貸出金の利益を圧迫され、ただでさえ経営環境が悪化している。政府系との低金利競争は民間の体力をさらに奪う。地域経済に影響も出かねない。早急な改善が必要である。

 まず必要なのは、利子の一部を税金で肩代わりする公的制度「危機対応融資」の抜本的見直しだ。

 大災害や金融危機などの外的要因で業績が悪化した企業に対し、国の税金で利子を補給し金利を優遇する。問題はデフレや原材料高など幅広いケースが「危機」と認められていることだ。制度のあいまいさを政府系が利用していたとみられる。

 商工中金では地銀などに競り勝つため、書類を改ざんするなどして本来は対象外の企業にも融資する不正を繰り返していた。

 返済能力が十分な企業に、政府系が税金で低金利融資する意味はない。対象を明確化するとともに、大災害など非常時のみに活用できる制度にするべきだ。その場合は、民間金融機関も利用できるように制度を設計する必要がある。

 政府系の存在意義も問われる。

 商工中金は完全民営化がたびたび論議されてきた。政府が46%を出資する状態が存続したのは「経営危機が起きると民間は企業に融資しない」という理由だった。

 全国銀行協会からは、焦げ付いた融資返済を肩代わりする信用保証制度を活用すれば、「民間も不況時に企業の資金繰りを支援できる」という指摘が出ている。

 経済産業省は商工中金の抜本的改革に向けた有識者会議を設置し、17日から論議を始めた。業務内容だけでなく、政府系として存続する意義があるのかどうか、幅広く論議しなければならない。

(11月20日)

最近の社説