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象牙の市場 速やかに閉鎖の決断を

 これ以上、国際的な世論を無視できない。

 国内の象牙取引である。アフリカゾウが生息するケニアなど4カ国が、日本を名指しで批判する議案を、11月末に始まるワシントン条約の常設委員会に提出した。

 条約締約国会議は昨年、象牙目的の密猟で絶滅する恐れがあるとして、各国に市場の閉鎖を求める決議を採択した。米国は取引を原則禁止し、中国も一部の加工場の閉鎖を開始。欧州連合(EU)も全面禁止を含めて検討している。

 日本は国際的に孤立している。「国内で流通している象牙は、条約で輸入が禁止される前の在庫」として、取引継続を認める立場を崩していない。

 決議採択を受け、今年6月に種の保存法を改正し規制を強化しただけだ。取扱業者を届け出制から登録制にしたほか、違反時の罰金も増額した。

 4カ国の議案提出は、それだけでは理解を得られないことを示している。日本の規制に抜け道がある懸念が強いためだ。

 登録が必要なのは完全形の象牙のみで、加工品は対象外だ。密猟された象牙も分割、加工されれば合法品と見分けることは難しい。

 流通している完全形の象牙も、全てが合法品がどうか疑問が残る。環境保護団体が2015年に実施した覆面調査で「登録票がない象牙を売りたい」と日本の37事業者に持ち掛けたところ、11業者が購入の意向を示した。虚偽の登録方法を指南した業者もあった。

 法改正後の8月にも、無登録の象牙9本を取引したとして都内の業者らが書類送検された。違法取引は後を絶たない。環境保護団体は「日本の制度は違法象牙のロンダリング(洗浄)に使われている」と糾弾している。

 4カ国は議案書で「合法性の裏付けが不十分」とした。もっともな指摘だ。抜け道を防げないのなら、市場閉鎖を決断するべきだ。

 国内市場は縮小している。野生生物取引監視団体によると、1989年に約200億円あった市場は14年には約20億円になった。国内企業も国際的な批判を恐れ、取り扱い禁止に乗り出している。

 象牙利用の大半を占める印鑑材料も、チタンなどの代替品が増えており、取引を禁止しても影響は大きくない。

 アフリカゾウの生息数は15年の調査で41万5千頭とされ、06年調査より11万1千頭減少した。このままでは貴重な種がまた消える。徹底した対策が各国の責務であることを忘れてはならない。

(11月21日)

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