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テロ国家指定 「対話」が遠のかないか

 米国のトランプ政権が、北朝鮮を9年ぶりに「テロ支援国家」に再指定した。

 北朝鮮への圧力を最大限に高める強硬路線を改めて鮮明にしている。経済制裁などで、包囲網は狭まってきた。米国は追加制裁を行うとしているが、締め付けは相当なレベルに達している。

 再指定は実質的な効果よりも、国際社会の中で北朝鮮の孤立化を図るための政治的メッセージの色彩が濃いようだ。

 今回の決定で、米朝の敵対姿勢は強まり、双方が歩み寄ることはより難しくなったのではないか。緊張や対立がエスカレートしていくことが懸念される。

 トランプ大統領は「北朝鮮は核で世界を威嚇しているだけでなく、国際テロを繰り返し支援してきた」と非難した。

 今年2月には、金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が猛毒の神経剤で殺害される事件が起きた。北朝鮮に拘束された米国人大学生が昏睡(こんすい)状態に陥り、6月の解放後に死亡したことも、大きな衝撃を与えた。再指定の背景にあるのはこうした問題だ。

 中国は習近平国家主席の特使として約1年ぶりに高官を北朝鮮に派遣したものの、核問題に関する成果は出てこなかった。トランプ氏は北朝鮮が態度を軟化させる様子はないと判断し、再指定を決めたとみられる。

 北朝鮮は大韓航空機爆破事件が起きた翌1988年にテロ支援国家に初めて指定された。北朝鮮が核計画申告の検証方法で合意したことを受け、2008年に指定を解除された経緯がある。

 北朝鮮はその後も核実験やミサイル開発を続けた。今年に入って大陸間弾道ミサイルの発射実験などを立て続けに行ったことで、米国内でテロ支援国家の再指定を求める声が強まっていた。

 北朝鮮は核・ミサイル能力の高度化を背景に、米国との直接交渉によって体制維持を図るシナリオを描いている。

 米朝が互いに一歩も譲ろうとしないまま、トランプ政権の圧力強化路線が固定化しかねない様相を呈してきた。北朝鮮が軍事挑発で応じれば、不測の事態を招くリスクが一段と高まる。

 安倍晋三首相はトランプ氏の方針に追従する。火に油を注ぐことにならないか、心配だ。

 米政権が主導する圧力路線は手詰まりではないか。国際社会は連携し、圧力一辺倒から対話局面へと、展望を開く努力を重ねなくてはならない。

(11月22日)

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