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憲法の岐路 代表質問 考え方の隔たり鮮明に

 改憲を巡り与野党の考え方には大きな隔たりがある。国会の代表質問で改めて浮き彫りになっている。

 発議に前のめりになる状況ではない。自民党は強引に進めてはならない。

 先の衆院選に伴う民進党の分裂で新顔の野党党首が安倍晋三首相との初の論戦に臨んだ。

 衆院の野党第1党、立憲民主党の枝野幸男代表は、安全保障関連法を前提とする改憲に反対を表明した。集団的自衛権の行使を「憲法違反」と指摘した上で「立憲主義に反した状況を放置しておいてまっとうな憲法論議ができるわけがない」と断じている。

 もっともな主張である。歴代政権は憲法上、許されないとしてきた。安倍政権は納得のいく説明のないまま解釈を変更した。改めて問わねばならない点だ。

 首相は5月、9条改憲案を唐突に示した。戦争放棄の1項、戦力不保持と交戦権否認の2項を残しつつ、自衛隊を書き加えるというものだ。この提案に対し、希望の党の玉木雄一郎代表は「違和感を禁じ得ない」と述べている。

 枝野氏、玉木氏とも論議そのものは否定していない。論点として衆院解散権の制約や国民の知る権利の拡大などを挙げた。安倍政権が目指す改憲とは内容や方向性が異なる。与野党の合意形成は簡単でないことが分かる。

 一方、首相は議論に深入りするのを避けている。「国会で各党による建設的な議論が行われ、国民の理解が深まることが極めて重要だ」といった答弁にとどまる。自民の党内論議については、首相の立場で答えることは「差し控えたい」とかわしている。

 抑制的な姿勢を見せているものの、与野党の論議を加速させたいのは明らかだ。自民は来年の通常国会に改憲案を提出する日程を描いている。二階俊博幹事長は記者会見で「ずるずる先に延ばしてもしょうがない」と意欲を示した。

 首相は党憲法改正推進本部長に自身の出身派閥の会長である細田博之氏を起用した。取りまとめを急ぐ狙いがうかがえる。先ごろの全体会合では参院選「合区」解消の改憲案のたたき台を了承している。9条を含め、慌ただしく集約を図るのではないか。

 特別国会はきょうまでの代表質問に続き、衆参の予算委員会が来週にも始まる。各党は改憲に対する安倍政権の姿勢を引き続き厳しくたださなくてはならない。

(11月22日)

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