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東海第2原発 経営優先の延長でいいか

 日本原子力発電が東海第2原発(茨城県東海村)の運転期間延長を、原子力規制委員会に申請することを明らかにした。来年11月に運転開始から40年になるため、規定を超える運転を求めるという。

 関東圏にある唯一の原発である。避難計画策定が必要な半径30キロ圏内の人口は、全国最多の96万人に及ぶ。事故時に素早く避難させられるのか疑問だ。

 計画策定は難航している。県は2015年3月にまとめた計画で、52万人を県外に避難させる方針を示した。避難先の自治体との調整は進まず、受け入れ施設の大半を決められないままだ。残り約44万人は県内の自治体に避難するという。机上の空論にすぎない。

 地元の不安も大きい。東海村は、周辺5市も再稼働の判断に関与できるように、原電に安全協定の見直しを要求している。

 同意を求められるのは通常、立地自治体と県のみだ。多くの立地自治体は再稼働のハードルが上がるとして、対象を広げることに反対している。再稼働で経済的恩恵がもたらされるためだ。

 異例の要求をしたのは、30キロ圏内の人口の多さを考慮すると「村と県だけでは責任を負えない」からだ。納得できる理由だ。

 原電は難色を示し、協議は進んでいない。再稼働を円滑に進める狙いがあるのだろう。経営優先の姿勢を改めなければならない。

 原発で作った電気を電力大手に卸してきた原電は、福島事故後に厳しい経営環境が続いている。

 所有する3基のうち、敦賀1号機は廃炉が決まり、同2号機は原子炉建屋直下に活断層があると指摘されて、再稼働の見通しは立っていない。大手電力が支払う基本料金のみが現在の収益源だ。

 だからといって、残る東海第2原発の再稼働を、問題を抱えたまま進めるのは無理がある。

 しかも、1978年運転開始の東海第2は福島第1と同じ沸騰水型だ。格納容器が小さく、冷却機能が失われると内部の温度や圧力が上がりやすい欠点がある。同タイプの運転延長申請は初となる。

 原発の運転期間が原則40年とされたのは、老朽化でトラブルが増える懸念があるからだ。運転延長は特例でなければならない。それなのにこれまで3機の延長が認められた。今回の申請が容認されると、原則はさらに形骸化する。

 リスクが大きく、事故時に影響を受ける人口が最多の原発を、40年を超えて運転する意味があるのか。極めて慎重な審査が必要だ。

(11月23日)

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