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森友学園問題 検査院指摘の疑義重く

 国有地を破格の低額で取得できた背景に何があったのか―。疑惑はますます深まった。

 学校法人森友学園への国有地売却をめぐる問題で、会計検査院が検査結果報告を参院に提出した。値引き額を算定した十分な根拠が確認できないと断じている。

 独立機関による検査で疑義が突きつけられたことを政府は重く受けとめなくてはならない。値引きは誰のどのような判断によってなされたのか。核心に踏み込んで経緯を明らかにする責任がある。

 小学校建設用地として、評価額9億5千万円余の土地が1億3千万円余で売却された。差額の8億円余について政府は、土中のごみ撤去費用だと説明してきた。

 撤去費を見積もった国土交通省大阪航空局は、敷地の地中3・8メートルまでごみが混入しているとして処分量を算出した。これに対し検査院は、3・8メートルを敷地全体に当てはめるのは不適切と判断。ごみ混入率を47・1%としたことも過大とした。条件を変えた試算では、処分量は大きく減った。

 政府の算定がずさんだったことは明らかだ。そもそも、ごみの撤去費を算出した経験がない大阪航空局に、なぜ財務省が依頼したのかも不可解である。

 検査院は検査の過程で、値引き額は最大で6億円余り過大と試算していたが、報告では具体的な金額には触れていない。関係資料が残っていないため、正確な算定は困難と判断したようだ。

 財務省は国会答弁で、売却の交渉記録は「廃棄した」の一点張りで通してきた。代金の支払いが済んでいないにもかかわらずである。素直には信じがたい。

 また、廃棄したことで経緯が検証できなくなる責任は誰が負うのか。公文書の管理をめぐり、恣意(しい)的な運用を防ぐ仕組みが欠かせないことも浮き彫りになった。

 開設を計画していた小学校は一時、安倍晋三首相の名前を冠した校名で寄付金を集め、昭恵夫人が名誉校長に就いていた。売却を前提に結んだ借地契約の際にも賃料は大幅に減額されている。

 学園の前理事長夫妻と近畿財務局の担当者の交渉を録音したとみられる音声データも明らかになった。「グーンと下げていかなあかんよ」と値引きを求める前理事長に、担当者は「努力する作業を今やっている」と応じている。

 行政の根幹である公正さに関わる問題だ。不当な働きかけや官僚による忖度(そんたく)はなかったのか。開会中の特別国会であらためて厳しく追及しなければならない。

(11月23日)

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