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「遠山の霜月祭り」新たな舞の担い手

鈴と扇子を手に「産土の舞」を繰り返し稽古する田中さん(中央)ら鈴と扇子を手に「産土の舞」を繰り返し稽古する田中さん(中央)ら
 飯田市遠山郷(上村・南信濃地区)で12月に開かれる「遠山の霜月祭り」(国重要無形民俗文化財)に向け、地元住民有志らによる稽古が熱を帯びている。上村の中郷地区では、担い手不足から、初めて成人の女性が舞を披露することになった。地域の伝統を末永く受け継いでいこうと、住民らは期待を込めている。

 霜月祭りは、太陽が衰えるとされる旧暦の11月(霜月)に八百万(やおよろず)の神々を招いて生命の再生を祈る。社殿の中央にある湯釜の周りで湯立て神楽を奉納。クライマックスでは、てんぐなどのお面をかぶった「面(おもて)」が登場し、湯を素手ではねかける。1日から15日まで、九つの地区で順次行われる。

 10月末現在の人口が68人と、上村の4地区の中で最も少ない中郷地区では、2011年から伝統文化の保存を目的に、地区外からの参加も呼び掛けている。今年は7人が住民たちに加わる。

 中郷自治会長の遠山貴志さん(64)によると、数年前まで祭りで中学生が舞を披露していたが、途絶えた。本来、成人女性の役割は祭りの裏方。職場の上司に誘われて2年前から参加する市職員の田中文子さん(30)=飯田市上郷黒田=は、一生懸命に笛の練習をし、多い時には100人分もの食事の準備や片付けをしていた。そんな姿を見て、遠山さんらが「舞をやってみないか」と声を掛けた。もう1人の女性職員と一緒に挑戦する。

 21日夜、中郷コミュニティセンターで、笛や太鼓の音に合わせて扇子や鈴を優雅に操る「産土(うぶすな)の舞」などを稽古した。周りのベテラン勢と比べると、まだぎこちない動きの田中さんも真剣な表情。休憩時間も、地元住民から所作を教わっていた。

 一晩中笛の音が鳴り響いて明け方まで続く祭りは「独特な世界で病みつきになった」と田中さん。「舞の披露を持ち掛けられた時は、祭りの雰囲気を壊してしまわないかと不安だったが、地元住民と一丸となって祭りを盛り上げていきたい」と意気込む。

 田中さんが舞を披露するのは12月2日。正八幡宮で午前11時に始まる。遠山さんは「新たな担い手として、伝統を受け継いでいってほしい」と話している。

(11月23日)

長野県のニュース(11月23日)