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県防災ヘリ 課題を慎重に詰めたい

 今年3月の県消防防災ヘリコプター墜落事故を受けた運航体制立て直しについて、県が当面の方向を決めた。リースの機体を使い、民間航空会社から派遣されるパイロット、整備士によって来春から再開する。

 自前の体制を整えるのは時間がかかる。民間の力を借りて再開するのは妥当な判断だ。

 長野県は面積が広い上に、3000メートル級の高山を抱える。ヘリ運航の負担は大きい。

 中長期的な体制をどうするかは慎重に詰めたい。

 県によると事故から11月中旬までの約8カ月間に、協定を結んだ隣接県から救急、救助、消火活動で19回の応援を受けた。ほかに県警から8回、自衛隊から2回の応援を受けている。

 いつまでも頼るわけにはいかない。年が明け春になると山火事が多くなる。今の時点で再開を決めた理由である。

 来春からは機長席と副操縦士席にパイロットが2人搭乗する「ダブルパイロット制」を導入する。2人にすると計器チェックや周囲の見張りなどが余裕をもってできる。隊員の間にかねて要望が強かった態勢である。

 再開に向けて、県は新しい安全管理の仕組みも打ち出している。(1)「安全運航管理幹」を置く(2)「安全運航会議」を毎月開く(3)第三者によるチェックの仕組みを整える―の3項目だ。

 8年前に北アルプス奥穂高岳で起きた岐阜県防災ヘリの墜落事故では、出動するかどうかの判断を事実上パイロットが下し、安全管理の仕組みが十分機能していなかったと指摘された。同県は事故の後、自衛隊OBを運航管理の責任者に起用して体制を強化した。長野県も参考にしたい。

 県は中長期的な課題として新たな機体の購入を挙げている。

 防災ヘリを運用している自治体の6割は、実際の運航は民間に委託している。機体を自分で持つのがいいか民間委託が現実的か、判断は難しいところだ。

 一番の問題はパイロットの確保だろう。全国的に不足している。自主運航を目指しても、人の面で壁にぶつかることもあり得る。

 山岳救助についても今後、幅広い観点からの検討が必要になる。気圧が低く気流は不安定。最高度の技術が求められる仕事である。長い経験を持つ県警ヘリに任せるのも一つの考え方だ。岐阜県では奥穂高の事故を機に、高山の救助から防災ヘリは撤退して県警が担当している。

(11月24日)

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