長野県のニュース

三菱マテ不正 日本ものづくりの危機

 目を覆いたくなるような失態続きである。「メード・イン・ジャパン」の信用が根底から揺らぐことになりかねない。

 神戸製鋼所に続き、非鉄大手の三菱マテリアルの子会社3社でも、一部製品の検査データを改ざんしていたことが発覚した。出荷先は計270社以上になる可能性がある。

 不適合品は、空気漏れを防ぐシール材や銅製品だ。強度などの性能データを偽っていた。航空機や自動車といった高度の安全性が求められる分野に使われている。

 安全軽視と糾弾されても言い訳できない。全社的な体質も疑われる。徹底した原因究明と再発防止策が必要だ。

 問題は多い。会社がデータ改ざんを把握してから対応するまで時間がかかったことである。

 シール材製造の子会社は今年2月にデータ改ざんを把握したのに、対象製品の出荷を取りやめたのは10月23日だ。子会社社長はきのうの記者会見で、「不具合があるかもしれないと認識しながら出荷を続けていた」と認めている。危機意識の欠如も甚だしい。

 神戸製鋼所が検査データ書き換えを発表したのは10月8日だった。納入先は海外を含めた525社に上り、米司法省も調査に乗り出す事態になっている。

 三菱マテリアルは、神鋼の不正を目の当たりにして、問題の深刻さに気付いたのではないか、との疑念も抱かせる。不正を隠した理由も明らかにする必要がある。

 国内製造業ではここ数年、同様の問題が相次いでいる。

 2015年には、東洋ゴム工業が国の基準に合うように免震装置ゴムのデータを改ざんして出荷。旭化成の子会社が建物のくい打ち工事でデータを改ざんしていたことも発覚した。

 16年には三菱自動車が自動車の燃費を実際より良く見せるため、データを改ざんしていたことが分かった。今年は日産自動車などの無資格検査問題である。

 多くの場合、不正は長年にわたり続いたのに、発覚まで時間がかかっている。共通した土壌はないのか。法政大大学院の真壁昭夫教授はコストカットで現場の人員が削減されたことや、中間管理層の負担増などを理由として挙げている。根本には経営陣の管理能力に対する疑問がある。

 一度失った信頼を取り戻すのは簡単ではない。経営者は襟を正し、自社に問題が起きていないか、起きる要素はないか、徹底して再点検しなければならない。

(11月25日)

最近の社説