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ラグビー界の名伯楽といえばこの人をまず挙げたい。故大西鉄之祐さんである。戦前、早大ラグビー部で活躍し戦後は母校の監督を務めて再建を果たした。日本代表監督だった昭和43年にはニュージーランドの強豪チームを破っている

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生前、説き続けていたのが「闘争の倫理」だ。体をぶつけ合う激しいスポーツである。相手の選手にけがをさせてまでも勝とうとするのか、汚いプレーはしないと踏みとどまるのか。選手が試合中に直面する二律背反の葛藤を自ら制御することを求めた

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戦時中は召集され、南方戦線で過酷な体験をした。武器を持って殺し合う「狂気の沙汰」である。戦争になれば歯止めが利かないのは人間の本性だ。そうなる前にブレーキをかけられる人間を育てることにこそ、スポーツの教育的な価値があると著書「闘争の倫理」に書いている

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大相撲の横綱日馬富士関が平幕の貴ノ岩関に暴行した問題が連日報道されている。貴ノ岩関の師匠貴乃花親方の行動が不信を招き、相撲協会内部の確執にも焦点が当てられている。だが問われるべきは怒りと力を自ら制御できない角界の暴力体質だろう

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10年前、兄弟子らの暴行で死亡した序ノ口力士の父親は今も体調を崩したままという。暴力は罪深い。角界は「力士は力の紳士たれ」との先人の言葉を刻んで「闘争の倫理」に学ぶべきだ。

(11月26日)

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