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国有財産売却 ずさんさ映す見直し案

 指摘された点だけを手直しして批判の声が収まるのを待つ―。そんな思惑を疑われても仕方ない。

 財務省が国有財産の処分手続き見直し案を公表した。全ての随意契約で売却価格を公開することなどを盛り込んでいる。

 国有財産は国民の共有物だ。誰に、どんな経緯で、幾らで売ったか。全ての情報は国民に対し明らかにされなければならない。

 公開するのは当たり前。遅すぎる見直しだ。

 大阪の学校法人「森友学園」への売却で、財務省は初め価格を公開しなかった。不審に思った豊中市議による情報公開請求、非公開に対する裁判所への提訴を受けてようやく公開した。

 その額は1億3400万円、鑑定額より8億円以上安い。地中のごみ撤去費用を差し引いた、との説明だった。

 疑問だらけの説明だ。実際のごみ処分量ははるかに少なかった可能性があると、会計検査院は報告書で指摘している。

 財務省はしかも交渉記録を省内規定に基づき廃棄したと強弁した。何かを隠そうとしていると勘繰られても仕方ない。

 こうした経緯に照らすと、見直し案はいかにも小手先だ。

 見積もり合わせをしない例外規定を明確化するという。見積もり合わせとは、売却額を高くするため購入希望者に希望価格を提示させることだ。森友への売却では提示を求めなかった。

 ほかに、▽売却前提の貸し付けや分割払いを認める基準をはっきりさせる▽地下にごみがあるなど特殊な状況では撤去費用見積もりは専門家に依頼する▽売却の経緯を検証できるよう文書管理を徹底する―ことなどを盛り込んだ。

 森友への売却に関して指摘された問題について、一つ一つ個別に対応している印象だ。

 不透明、不明朗な売却手続きを改めるのは当然である。問題は国民に対し説明責任を果たす決意が感じ取れないことだ。

 今度の見直しは森友との手続きが適正だったかどうかの解明にもつながらない。値引きがなぜ行われたのか、官僚の忖度(そんたく)はなかったのか。ここが解明されない限り国民の納得は得られない。

 衆院予算委が27、28両日に予定されている。野党は国有財産管理の責任者だった前財務省理財局長佐川宣寿氏(現国税庁長官)の参考人招致を求めている。財産処分の透明化を言うのなら、政府与党は招致を受け入れるべきだ。

(11月27日)

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