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民俗芸能継承へ 飯田で研究者や市民が交流集会

年中行事の伝承に向けて討論した研究者ら年中行事の伝承に向けて討論した研究者ら
 飯田下伊那地域の民俗芸能の継承に向けて、研究者や市民が交流する伊那民俗研究集会が25、26の両日、飯田市の市美術博物館で開かれた。初開催の今年は、農村の家庭などに受け継がれている「年中行事」がテーマ。26日のシンポジウムでは、年中行事の意義や継承などについて研究者らがパネル討論した。

 松本市の民俗研究家、福沢昭司さんは、昔の人たちが正月やお盆などの年中行事を大切にした背景を、旅人の目印となる一里塚になぞらえて分析。日々の生活は今より単調で繰り返しの作業が多かったため、「日常生活の時間を区切る何らかの楽しみ、目当て、道しるべが必要だった」と推測した。

 昔ながらの年中行事を受け継ぐ家庭や集落は、「民俗芸能の宝庫」とされる飯田下伊那地域でも減少傾向。日本工業大教授の板橋春夫さん(日本民俗学)は行事の儀礼食を給食で出す他地域の取り組みを紹介しつつ、給食での味の再現は難しい面があり、学校現場での伝承の限界も指摘した。

 映像や文書による記録を長年続けている同館学芸員の桜井弘人さんは「年配のご夫婦にとっては、行事を手伝ってくれる孫の存在が励みになっている」と報告。柳田国男記念伊那民俗学研究所(飯田市)所長の福田アジオさんは「民俗は住む人の主体的な努力よって伝えていくものだが、専門家が支援できる部分もある」と述べた。

 研究集会は、南信州広域連合や祭りの保存団体などでつくる「南信州民俗芸能継承推進協議会」と同研究所が主催。パネリストらによる研究発表や映像上映もあった。

(11月27日)

長野県のニュース(11月27日)