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オオムラサキ 成虫どこへ? 長野・松代の繁殖地

オオムラサキの幼虫の生息状況の調査を行う住民ら=24日、長野市松代地区オオムラサキの幼虫の生息状況の調査を行う住民ら=24日、長野市松代地区 長野市松代地区の繁殖地に生息したオオムラサキの成虫=2013年撮影長野市松代地区の繁殖地に生息したオオムラサキの成虫=2013年撮影
 国蝶(こくちょう)オオムラサキの繁殖地として住民らが保全活動を続けてきた長野市松代地区の雑木林で2年ほど前から、成虫が飛んでいる姿がほとんど見られなくなり、関係者が心配している。将来絶滅も危ぶまれるチョウだが、多い年には数千匹が乱舞する「国内でも珍しい貴重な場所」と言われる雑木林。今月実施した住民らの現地調査では昨年に続いて幼虫の存在は確認できたが、成虫がいなくなった原因は不明のままだ。

 雑木林は松代町東条と同町東寺尾にまたがる市有地で、葉が幼虫の餌となるエノキが群生している。住民が保護に取り組み、土地を所有していた企業が2015年12月に2・1ヘクタール余を市に寄付した。市は同年、将来に引き継ごうと保全のガイドラインを作成。住民らはエノキの枝払いなど環境整備に努めてきた。小学生の観察会も開かれている。

 成虫が減ったのはこの年あたりからとみられる。生息環境に大きな変化はなく、日本昆虫協会長野支部事務局長の栗田貞多男さん(71)=長野市=は、病気のまん延やムクドリなど天敵による幼虫の捕食を原因として推測する。「過密になってウイルス性の病気が発生した可能性が最も考えられる」と説明する。

 こうした経緯を踏まえ、地元の自然観察グループ「スハマ会」や、市や企業、市民による「ながの環境パートナーシップ会議」のプロジェクト、地元住民らが調査を開始。今月24日には、木の根元付近にある落ち葉の裏に潜んでいる幼虫を慎重に調べた。

 なかなか見つからず幼虫まで姿を消したのでは、との不安も広がったが、調査対象のエノキ3本のうち2本の根元で計23匹を確認。「良かった」と、安堵(あんど)の声が上がった。栗田さんも「希望が持てる」と話した。昨年同時期の調査でも幼虫は見つかっており、今後も注意深く見守る方針だ。

 小学生の観察会は来年から校数が増える計画で、スハマ会の事務局を務める小林正さん(75)=同=は「今後も学習の場として維持していく」と強調する。12月には、エノキの低木を農業用パイプハウスで囲い、中の幼虫を外敵から守る「飼育棟」を整備する考え。

 次回の調査は、エノキが芽吹き始め幼虫が再び木に上ってくる5月に実施する。

(11月29日)

長野県のニュース(11月29日)