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森友学園問題 経緯を解明しなくては

 学校法人森友学園の国有地売却問題は、衆院予算委員会の審議で改めて不透明さが浮かび上がっている。

 大幅に値引きされたいきさつを明らかにする必要がある。今後の透明性確保に論点をずらし、幕引きを図ることは許されない。

 評価額9億5600万円の国有地が小学校建設用地として1億3400万円で森友学園に売却された問題だ。地下に埋まっているごみの処理費用として約8億2千万円が差し引かれた。安倍晋三首相の妻、昭恵氏が一時、名誉校長に就いていた小学校である。

 会計検査院は売却額がずさんに算定されたとする検査結果を公表している。ごみ処分量は国の推計の3〜7割だった可能性があるとした。この報告も踏まえての予算委だった。

 質疑の中で、財務省の理財局長は近畿財務局の担当者と森友側とのやりとりを記録した音声データの存在を認めた。売買契約を結ぶ前の昨年5月半ばごろのものだと明かしている。

 8月に民進党チームが入手したものだ。森友側が「ゼロ円に極めて近い形で払い下げてほしい」と要求、財務局側はごみ撤去費として既に支払っている1億3千万円を下回る金額は提示できないと回答―といった内容である。

 理財局長は一方で、価格交渉については否定している。「不動産鑑定評価額が出る前に、学園から買い取り希望価格が提示された認識はない。当方から売却価格を提示したことはない」とする。ふに落ちない説明だ。

 森友への対応が異例だったことも改めてはっきりした。売却を前提にした定期借地契約を結んだり分割払いを認めたりしたのは「2012年度から16年度の間で本件のみだ」と述べている。

 なぜ特例を重ねたのか、官僚の忖度(そんたく)はなかったか。売却に至った経緯は依然、分からない。

 見過ごせないのは政府、与党に解明する姿勢がうかがえないことだ。与党の質問者は音声データの存在を認めさせながら、深く踏み込まなかった。

 今回の予算委は質問時間の配分を変え、与党分を増やしての開催だった。政府へのチェックを利かせるため、やはりこれまで通り野党に多く配分すべきだ。

 首相は、国有財産売却の業務や公文書管理の在り方を見直す考えを示している。再発防止は当然である。そのためにもまずは事実関係の解明だ。参院予算委でさらに追及しなくてはならない。

(11月29日)

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