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ミサイル再び 冷静かつ慎重な分析を

 北朝鮮が2カ月半ぶりに弾道ミサイルの発射を強行した。

 青森県の西方約250キロ、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。軍事的緊張が高まり続ける中である。許されない挑発行為だ。

 北朝鮮は新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射実験に成功したとする政府声明を発表した。

 重量級の核弾頭を搭載でき、米国本土全域を攻撃できる核戦力が完成したと主張している。

 事実なら、米のみならず国際社会にとって深刻な脅威だ。果たして、技術はどこまで進展しているのか。国民生活そっちのけで核開発に資金を注ぎこんで国を保つことができるのか。

 外交による解決の鍵を探るためには核・ミサイル技術の性能とともに、北朝鮮の内情を冷静かつ慎重に分析する必要がある。

 今回のミサイルの到達高度は4千キロを超え、過去最高とされる。高く打ち上げて飛距離を抑える「ロフテッド軌道」を使ったとみられ、通常軌道なら米全土が射程に入る恐れがある。

 韓国軍は7月に2度にわたって発射した「火星14」系列のミサイルと推定している。これまでの最高高度が3500キロ超だったことを考えると、技術的に進歩した可能性は否定できない。

 北朝鮮は9月中旬以降、軍事挑発を控えていた。

 一方、トランプ米大統領はアジア歴訪やテロ支援国家再指定で圧力強化路線を鮮明にした。原子力空母を中心とした艦隊を派遣して軍事的圧力もかけ続けた。

 今回の発射は核・ミサイル開発で譲歩しないとのメッセージをトランプ政権に送ったとみていいだろう。夜間の発射で奇襲能力があることも示し、米の軍事攻撃をけん制する狙いも感じられる。

 北朝鮮は核戦力を整え、「核保有国」であることを米国に認めさせた上で出口戦略を探るのではないか、との見方がある。

 北朝鮮は、今回初めて核戦力の完成を表明した。今のところ対話に応じる気配はないものの、交渉を模索する可能性はある。ただ、核に体制の命運を託した以上、米の出方次第では核実験とミサイル発射を続けるだろう。

 最も懸念されるのは双方によるチキンレースの先行きである。根比べに耐えられなくなって、武力に頼るケースが考えられる。最悪の事態を避けるために、国際社会は対話の窓を開ける努力を惜しんではならない。

(11月30日)

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