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ふるさと納税 制限しても返礼品競争

 いくら国が制限しようとも寄付に対するお返しの競争は続く。ふるさと納税制度の矛盾を表しているのではないか。

 伊那市が、ふるさと納税の返礼に高級フィットネスクラブ「RIZAP(ライザップ)」の減量プログラムなどを提供すると発表した。全国初という。

 100万円の寄付で全16回のプログラム、15万円で全4回を全国のスタジオで受けられる。4万円以下はサプリメントなどを贈る。

 ふるさと納税は個人が選んだ自治体に寄付すると、2千円の自己負担を除いた金額が住民税や所得税から差し引かれる仕組みだ。返礼品が2千円より高いものなら得をする。民間の情報サイトなどで返礼品を見比べて寄付先を決める風潮が広がった。

 その結果、返礼品の豪華さで寄付を集める競争が過熱。総務省は4月、返礼品調達額を寄付額の3割以下にするよう通知した。お金に換えやすい商品券や家電などは全廃を求めている。

 伊那市は液晶テレビなどの家電製品の返礼が人気で昨年度、全国2位の72億円余の寄付を集めた。だが、総務省から直接、要請を受け、見直さざるを得なくなった。

 市長は「健康関連で結果を出すライザップに注目していた」という。有名人を起用し、減量前後の姿を見せ「結果にコミットする(関わる)」とPRするCMで知られる。寄付額に対する調達額の割合はおおむね3割以下という。

 家電を贈っていた時は、部品の製造業者が市内にあり、地元の電器店などの組合を通して調達することで、地域経済の活性化に貢献するという名目があった。ライザップは運営会社の本社が東京にあり、スタジオもない伊那市とのゆかりはない。

 地域の魅力を発信するという制度の趣旨にそぐわないのではないか。市民の間にも違和感を覚えるとの声がある。

 ふるさと納税はいわば自治体同士の税金の奪い合いだ。うかうかしていれば住民税の控除額の方が集まった寄付額を上回り、赤字になる。住民サービスの低下につながりかねない。地域に関係ない返礼品を使ってでも寄付を集めようという動きは続くだろう。

 都市と地方の税収格差を是正するのが制度の目的とされる。その役割は本来、国税を一定割合で自治体に配分する地方交付税が担う。格差が大きいのなら交付税の法定率をもっと引き上げて財源を増やし、都市と地方の配分を見直すのが筋である。

(12月1日)

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