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安倍晋三首相は既に目を通したことと思う。どんな感想を持ったか聞いてみたい気もする。衆院の憲法審査会が欧州に派遣した調査団の報告書だ。超党派の7人が英国、スウェーデン、イタリアを10日かけて回り議会関係者に改憲の国民投票制度について尋ねている

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イタリアでは昨年の国民投票を巡り野党議員が述べた。「議会での非常に幅広いコンセンサスが必要。その時々の政治的な多数だけに頼るような改憲は不可能だ」。改憲案は否決され、首相が辞任に追い込まれた。野党が反対に回ったことが大きかった

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英国では野党議員が投票成立の最低ラインについて話している。「例えば賛成票が全有権者の半数以上必要といったラインを設けなければ結果に正統性がなくなるのではないか」。52対48で決まった昨年の欧州連合(EU)離脱の国民投票は正統性に疑問の声が上がっている、と

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第1次安倍政権の時に制定された日本の国民投票法には最低投票率の規定がない。投票ボイコット運動による不成立を避けるため自民党が盛り込むことに反対したのだ。法の欠陥が図らずも浮き彫りにされた形になった

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安倍首相にとり一番耳が痛いのはヒラリー・ベン英下院議員の次の言葉だろう。「自衛隊を憲法に明記することによりどんな違いが生まれるのか」。これまでうまくやってきたのに憲法を変える必要があるのか、との問いに森英介調査団長はしどろもどろだった。首相ならさてどう答える。

(12月3日)

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