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安保をただす 宇宙演習 なし崩しの懸念が募る

 日本の宇宙利用に懸念が募る。米軍の宇宙作戦を巡る多国間演習に自衛隊が初参加を目指すという。

 政府の宇宙基本計画の工程表改定案に盛り込まれた。米軍と自衛隊の一体化が、この分野でも加速することになる。宇宙の軍事利用をなし崩しに進めてはならない。

 計画は2008年施行の宇宙基本法に基づく。09年に初めて策定し、内容を更新してきた。今は日米の宇宙協力推進や宇宙産業の基盤強化などを掲げる。計画実現に向けた「アクションプラン」と位置付けられる工程表は毎年改定されている。

 文部科学省の有識者会議の報告書を受け、政府の宇宙政策委員会が改定案をまとめた。年内に閣僚らによる宇宙開発戦略本部で正式に決める。

 参加を目指すのは、米空軍宇宙司令部が来年秋に行う演習だ。昨年は英国、フランスなど6カ国が参加した。自国の衛星が電波妨害や攻撃を受けた場合などを想定して机上演習を実施する。

 日本は1969年の国会決議で宇宙利用を「平和目的に限る」とし、非軍事原則をとってきた。宇宙基本法で一転、防衛目的を認めた。2012年には宇宙航空研究開発機構(JAXA)設置法の平和利用条項を削除するなど、軍事利用への取り組みを重ねている。

 宇宙部隊創設の動きも進む。防衛省は18年度予算の概算要求で44億円を計上した。日米が弾道ミサイルの警戒監視などで使う人工衛星を対衛星兵器や宇宙ごみから守るため、監視システムの設計などに充てる。

 宇宙空間は、陸海空に次ぐ「第4の戦場」といわれる。日米両政府は15年の防衛協力指針(ガイドライン)改定で宇宙分野の協力強化を打ち出した。安倍晋三首相とトランプ大統領との会談でも連携を繰り返し確認している。

 自衛隊の活動が歯止めなく拡大していきかねない。

 今年1月には、防衛省が初めて運用する通信衛星も打ち上げられた。高速、大容量の通信によって動画などを素早く送れる。さらに増やし、インド洋や太平洋などを広くカバーする考えだ。

 このまま軍事に傾斜するのを認めるわけにはいかない。宇宙利用の在り方や自衛隊の活動について国民的な議論が必要だ。国会で詳しく説明し、問題点を掘り下げなくてはならない。

(12月4日)

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