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あえて虫食い 強烈エレキ 松枯れのアカマツ、ギターに 松本

松枯れで伐採した松本市内のアカマツをボディに使ったエレキギター。節や虫食い穴も「デザイン」だ松枯れで伐採した松本市内のアカマツをボディに使ったエレキギター。節や虫食い穴も「デザイン」だ
 ギター製造のディバイザー(長野県松本市)が、松枯れで伐採した松本市内のアカマツでエレキギターを作った。社員の地元に植わるアカマツが伐採されることになり、ギターにできないかと提案。製材すると節や虫食いの跡が目立ったが、あえて節や染みを見せるよう加工し、「強烈なインパクトを与える」(同社)1本に仕上げた。松枯れの現状や木を有効に使うギター製造会社の思いを伝えたいという。

 製造のきっかけは、同社経理部長で松本市岡田地区の岡田財産区議長も務める佐藤忠さん(74)の提案。佐藤さんによると、同地区では松枯れを受けて樹種転換を進めている。伐採したアカマツについて、「再活用し、木として残していきたい」との思いがあったという。

 今年2月、地区内にある里山の「芥子坊主(けしぼうず)山」の古いアカマツが枯れて伐採することになり、佐藤さんら同社の従業員が話し合った。「やってみなければ分からない」。ギターの制作が決まった。一般的に針葉樹を使うアコースティックギターの表板にする予定で製材し、乾燥させた。

 だが、材は節や染み、虫食いの跡が目立ち、薄くすると強度が弱く、表板には不向きと判断し、エレキギターのボディに方針転換。木工加工担当の高取裕二さん(36)は「あえて節や染みを生かすよう切り出した」。素材の持つ雰囲気に合わせ、塗装の色や部品を工夫した。

 ボディ部分には青緑の塗料を薄く塗った。ピックガード、音量を調節するノブといった部品は、使い込んだように加工してあり、「全体的に使い古したベンチのような雰囲気」(塗装担当の梶田恭正さん)にした。軽快な音色が特徴という。

 今回のギター制作を「松本産アカマツ・ギタープロジェクト」と銘打ち、製造過程や、松枯れ被害の現状を伝えるパネルも用意した。ギターとパネルを展示会などで紹介するほか、近くもう1本製造する考えだ。

 「このギターが松枯れの被害に関心を持つきっかけの一つになればうれしい」と広報担当の相沢森(しん)さん(34)。佐藤さんは「話題性があり、人と違うものが欲しい人もいる。できれば続けて形にしていきたい」と話している。

(12月5日)

長野県のニュース(12月5日)