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ジンバブエ 民主化への道開けるか

 新体制が発足したといっても、安心して見てはいられない。政治の民主化や経済の立て直しを軸に、国の安定を図ってほしい。

 アフリカ南部の内陸国ジンバブエである。独立以来37年にわたり実権を握ってきたムガベ氏が辞任に追い込まれ、第1副大統領だったムナンガグワ氏が新大統領に就任した。

 政変劇を招いたのは、ムガベ氏の独裁的な政権運営である。経済を疲弊させ、国民や与党の支持を失ったことが大きい。

 ムナンガグワ氏は「完全な民主主義を実現する」と約束したけれど、新政権の閣僚を側近で固め、野党を排除した。与野党が協力して国の再建に取り組まねばならない状況なのに、果たして大丈夫なのか。新政権のかじ取りを厳しく見る必要がある。

 ジンバブエは英国の植民地などを経て、1980年に独立した。白人少数政権とのゲリラ闘争を率いたムガベ氏は当初、教育や医療を無料化するなど、国民から「独立の英雄」と支持された。

 だが、白人の大規模農園を強制収用して黒人への分配を進めた結果、農地は荒廃。欧米との関係悪化を招いている。財政政策も失敗し、超インフレを招くなど、経済を破綻させてしまった。

 さらに、後継争いでムガベ氏の妻とムナンガグワ氏の対立が絡んだことが決定的となった。ムナンガグワ氏の解任をきっかけに、国軍が蜂起してムガベ氏を軟禁。与党も弾劾手続きを始め、国政は混乱した。国民も見限り、辞任は不可避となった。

 新大統領も白人支配に抵抗した闘士として知られる。が、野党弾圧や不正蓄財疑惑など、強権姿勢はムガベ氏に通じる。今回は国軍と結託して権力の座を奪取したとの見方がもっぱらだ。

 国軍の蜂起は事実上のクーデターで「憲法違反」との指摘が出ている。司法当局はこれに対し、軍の行動は合法だったとの判断を下し、ムナンガグワ氏の統治に正統性を与えている。

 国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチは「司法が乗っ取られた」と批判し、裁判所が軍やムナンガグワ氏の影響下にあるとの見方を示した。

 アフリカではクーデターによる政権奪取が繰り広げられてきた経緯がある。ジンバブエで流血の事態に発展しなかったのはよしとしても、国内に火種は多く、不安定なままだ。国際社会は政治や経済の安定のために、支援を惜しんではならない。

(12月5日)

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