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春の賃上げ 今回こそ実現したい

 連合が、2018年春闘の方針を決めた。ベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)相当分を合わせ、4%程度の賃上げを求める。

 この要求水準は3年連続である。昨年の春闘では人手不足が深刻化していたのに賃上げ率は1・98%にとどまり、過去4年間で最低水準だった。経済の先行きに対する不安感などで、企業が賃上げに慎重になった影響とみられている。

 世界的な貿易拡大や円安の後押しで、上場企業の18年3月期決算は2年連続して過去最高益を更新する見通しだ。連合には追い風が吹いている。

 企業の内部留保に当たる利益剰余金は、第2次安倍政権が発足した12年度の約304兆円から100兆円余増え、約406兆円に膨らんだ。一方で16年度の人件費は約202兆円で、12年度から約5兆円しか増えていない。この差は看過できない。

 賃上げは消費の改善に不可欠だ。消費が伸び、デフレが解消すれば経済の好循環につながる。企業は認識を改めて、十分な賃上げを実現してほしい。

 安倍政権は毎年、企業に賃上げ要請を続けている。来年の春闘では、経済界に3%の賃上げを求める異例の要請をしている。

 日銀が大規模金融緩和を続けても家計が改善しない状況にしびれを切らしたのだろう。労使の交渉である春闘に政府が数値目標まで掲げ、口出しするのは本来、筋違いである。この状況をよしとするのか、経営者の姿勢が問われる。

 政府は18年度税制改正で、賃上げ企業の法人税優遇を拡充する一方、賃上げが不十分な企業には優遇措置の一部適用をやめ、実質増税とする案を検討している。アメとムチの使い分けでは、企業の反発が強まるだけではないか。

 政府は企業や家計が抱える将来不安に対し、真正面から向き合う姿勢を示すことが必要だ。年金問題や少子高齢化、国の財政問題など、将来不安は多様だ。小手先の政策を繰り出しても賃上げは進まず、消費も増えないだろう。

 労働者の4割を占める非正規労働者の待遇改善も必要だ。国税庁のまとめだと、16年の正社員の平均給与は486万円なのに対し、非正規は172万円余だ。両者の格差は314万円となり、12年以降で最高だった。

 非正規労働者が不合理な待遇に置かれているならば早急に改善するべきだ。労働組合はすべての労働者に目を配り、賃上げに取り組まなければならない。

(12月6日)

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