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共通テスト 学校教育見直す議論を

 知識偏重を脱し、思考力や判断力を問う入試へ―。大学入試改革の考え方自体に異存はない。高校までの学校教育のあり方にも大きく影響するだけに、事を急がず、丁寧な議論を踏まえて進めることが欠かせない。

 「大学入学共通テスト」の導入に向け、初めて実施した試行調査の問題を大学入試センターが公表した。記述式の新たな設問だけでなく、マークシート式でも従来にない形式の出題が目立つ。資料から読み取った情報を組み合わせて考えさせる問題もあった。

 思考力、判断力、表現力を全ての科目で重視し、知識をどれだけ活用できるか確かめる―。出題の狙いは見て取れる。何よりまず問題文が長く、調査に参加した生徒たちは苦戦したようだ。

 「時間が足りなかった」「受けたことがないテストだった」…。戸惑う声が各地で聞かれた。正答率が3割に満たない問題も多く、現行のセンター試験と比べてかなり難しかったという。

 1次試験である共通テストは、基礎的な学力を見ることが主眼だ。できる層とできない層に成績が2極分化すれば、用をなさない恐れがある。難易度の見極めは重要な課題の一つだ。

 さらに本質的な課題は、狙いとする思考力や表現力を問えているかだ。記述式の問題は、採点の時間短縮と公平を期す必要から、正答とする条件を細かく定めた。表現力を評価する余地は少ない。

 資料を読み解いて答えを選ぶ問題も、分かるのは思考力というより情報処理能力ではないかといった指摘がある。“正解”にとらわれれば、かえって思考が型にはまることにもなりかねない。

 共通テストは今年5月に原案が示されたばかりだ。2021年に導入する日程ありきで、準備不足のまま見切り発車する懸念が拭えない。各大学の2次試験を含めた改革の議論は進んでいない。

 思考力や判断力の重視は、小中高校で20年度から順次実施される次期学習指導要領の考え方と重なり合う。大学入試を変えることがそれをけん引する面はあるとしても、性急に過ぎれば、受験生がしわ寄せを受ける。

 小中を含め、学校教育のあり方をどう見直していくか。大学入試改革と並行して議論を広げる必要がある。高校で覚える歴史用語を精選する提案なども教員らの研究会から出ている。問題提起の一つと受けとめたい。政府主導、上意下達でなく、現場が主体的に動くことが何より重要になる。

(12月6日)

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