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五輪ロシア除外 薬物使用根絶への一歩に

 禁止薬物の使用を国家ぐるみで隠蔽(いんぺい)した。スポーツの価値をおとしめ、五輪への信頼を揺るがす深刻な不正である。国際オリンピック委員会(IOC)が厳正な処分を下すのは当然だ。

 IOCの理事会が、来年2月の平昌冬季大会にロシア選手団の出場を認めないことを決めた。ドーピングを理由に選手団を除外するのは五輪史上初めてである。

 潔白を証明した選手が個人の資格で出場することは容認し、全面排除は避けた。ただし、ロシア国旗や国歌の使用は認めず、五輪旗の下での参加になる。

 不正に関与していない選手の権利は守られなければならない。個人参加の道を残したことは妥当だ。違反歴がないことなどを条件に、新たに設ける委員会で、出場の可否を判断するという。

 ロシア側は組織的な不正を一貫して否定してきた。プーチン大統領は、米国の策略だと非難している。根拠を欠くその主張にも、政権の求心力を高めるためにスポーツを利用する姿勢がのぞく。

 スポーツ省の主導の下、禁止薬物が選手に渡り、検査機関も結託して尿や血液の検体がすり替えられた―。世界反ドーピング機関(WADA)の調査報告は、驚くべき実態を暴いた。

 不正は夏季、冬季五輪のほかパラリンピックでも行われていた。昨年末の最終報告は、2011年から15年までに千人以上の選手が関与したと結論づけている。

 これを踏まえIOCが設けた委員会も、国家ぐるみの隠蔽は紛れもない事実と認定した。14年のソチ五輪の検体を再検査した結果、25人に違反が見つかり、11個のメダルが剥奪されている。もはや言い逃れができる余地はない。

 昨夏のリオデジャネイロ大会でロシア選手の出場可否の判断を国際競技団体に委ねたIOCの対応は、及び腰と批判を受けた。強い姿勢に転じた背景には、大会招致の辞退が相次ぐなど、五輪の存在意義が問われていることへの危機感も見て取れる。

 組織的なドーピングはロシアに限ったことではないと指摘されている。五輪の商業化やスポーツビジネスの拡大が進み、巨額の資金が動くことも、選手を薬物に走らせる一因になってきた。

 状況が改善しているようには見えない。選手の側からも声を上げ、根絶に向けた取り組みをさらに広げる必要がある。スポーツ界が、不正を許さない姿勢を明確に示すことが欠かせない。IOCの今回の判断はその一歩である。

(12月7日)

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