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来月、10年ぶりテロ図上訓練 県・国・松本市

 県は6日の県会危機管理委員会で、国、松本市と共同で来年1月26日、国民保護法に基づく「図上訓練」を県庁と同市役所を会場に実施するとし、概要を説明した。県内での実施は2008年以来、10年ぶり。県は20年の東京五輪などの国際的なイベントに備える必要があるとし、将来は一般県民も参加する「実動訓練」実施も視野に入れている。テロ事件が相次ぐ中、県民の生命を守るために必要と判断したという。

 北朝鮮情勢が緊迫化する中、有事への備えが必要との声は少なくない。ただ、有事における「国民の協力」を定める国民保護法は国民の権利制約の側面が指摘されてきた。憲法改正議論では、有事の際に首相に権限を集中させる「緊急事態条項」の創設も議論されており、改めてその危うさに目を向けるべきだとの声が出ている。

 県によると、国際テロ組織が松本平広域公園の総合球技場(アルウィン)とやまびこドームを爆破、テロリストが人質をとって公民館に立てこもる―との想定。国、県、同市のほか、県警や自衛隊、消防など計約230人が参加。県、同市が対策本部を設け、被害情報の収集や、応急対策に当たる手順を確認する。県は県内77市町村に情報を伝える訓練もする。

 今回は一般県民の避難誘導といった実動訓練は行わないが、県危機管理防災課の担当者は「図上訓練で課題を見つけ、実動訓練も考えたい」としている。

 同法は、武力攻撃などから国民の生命と財産を守るとして制定。国民の協力については「自発的意思」に委ねられるとする一方、土地や家屋の使用、救援物資の収用について強制措置を認め、罰則も設けている。県内で初めて図上、実動訓練が行われた08年には、「有事を理由に自由が制限され、国民の人権が脅かされる」「戦争を前提とした体制づくりに住民を巻き込む」といった批判が出た。

 今回の訓練について、同課は東京五輪に向けたテロ対策のほか、前回訓練から時間が経過したことなどから実施を決めたと説明。松本市危機管理課は「市民らの生命を守るため、起こり得るテロに備えることは必要」とした。この日の県会委員会では、県議から「(訓練内容を伏せて)突発的に行った方がいいのでは」との意見も出た。

 これに対し、県護憲連合の村山智彦代表委員は「訓練は保護の名目で国民を一定の方向に誘導する恐れがある」と指摘し、訓練中止の申し入れを検討するとした。緊急事態条項の創設の機運が高まることも危惧する。

 「日本と信州の明日をひらく県民懇話会(県革新懇)」の山口光昭代表世話人は「県内で具体的なテロの危機があるのか判然としない」とした上で、「国民に危機意識を植え付けて、統制につなげる心配もある」としている。

(12月7日)

長野県のニュース(12月7日)